豊橋市の豊小が「ヨンデミー」全校導入へ AI読書支援で児童の読書量が飛躍

2025年11月18日、オンライン読書習い事「ヨンデミー」を提供する株式会社Yondemyは、愛知県豊橋市立豊小学校で全校実証実験を開始したと発表した。先行導入で読書量が大幅に伸びたことを受け、市内で読書教育のデジタル化がさらに進む見通しだ。
豊小が全校でヨンデミー導入 1カ月で742件の読了記録
Yondemyは、豊橋市立豊小学校においてオンライン読書サービス「ヨンデミー」の全校実証実験を始めた。豊小では2025年9月から3年生クラスに限定して先行導入しており、約1カ月で742件の読了感想が投稿された。利用児童の63%が毎週欠かさずアクセスし、児童一人あたりに換算すると月27冊の読書量にあたる成果を記録した。
この動きは、同市の津田小学校で6月から続く実証実験の成果と並ぶものだ。津田小では導入後1カ月で平均読書量が全国平均の約2倍に増え、学校図書館の貸出冊数は前年比2.4倍に拡大した。豊小も同様に読書習慣の定着が進んでいる。
豊小の全校導入に合わせ、アプリが推薦した本の場所を示す「配架場所案内機能」を新たに搭載した。加えて、学校が保有する書籍を中心に選書ラインナップを拡充し、児童が興味のある本へ自然にアクセスしやすい環境を整えた。朝の読書時間や授業のすき間時間、家庭での自由時間など多様な場面で活用が広がっている。
AI読書支援が広げる教育DX 学習格差と依存リスクの両面を見据える
ヨンデミーの全校展開が進むことで、読書教育のデジタルシフトは一段と加速するとみられる。AIが児童の興味や読解レベルを分析し、本を自動で推薦する仕組みは、読書への心理的障壁を下げる効果が期待できる。ミニレッスンやキャラクターによる演出、バッジ獲得などゲーミフィケーション(※)を活用した導線は、読書が苦手な児童にも「自分で選び、読める」体験を提供する点が強みだと言える。
メリットとしては、自発的な読書量の増加に加え、読みたい本へアクセスしやすくなることで学習機会の均質化にも寄与する可能性がある。データを基にした指導が進めば、児童ごとの読書傾向を把握しやすく、教員の負担軽減にもつながる。
一方で、デジタル依存や家庭ごとのICT環境の差によって、学習格差が生じる懸念は残る。利用時間の最適化や紙の本との併用など、学校がガイドラインを整備しながら長期運用に備える必要があると考えられる。
Yondemyは「豊かな読書体験を全国へ」と掲げており、自治体との連携による教育DXモデルが各地に展開される可能性がある。豊橋市での成果が持続すれば、読書教育の標準モデルとして他地域へ波及する展望も見えてくる。
※ゲーミフィケーション:ゲームの仕組みを教育やビジネスなど非ゲーム分野に応用し、行動を促す設計手法。
参考記事:
文京区の学童施設にAI導入 読書習慣づくりに「ヨンデミー」が実証実験開始












