トランプ氏がAI規制の連邦統一基準を要求 州法乱立が米国の競争力に影響

2025年11月18日、米国のトランプ大統領が人工知能(AI)規制の連邦統一基準の策定を議会に求めた。SNSへの投稿で州法の乱立が成長を阻害すると警告し、米国国防権限法へのAI条項追加にも言及した。
トランプ氏が州規制停止も示唆し連邦基準の早期整備を要請
トランプ大統領はSNS「トゥルース・ソーシャル」で、州ごとに異なるAI規制が企業の投資判断を妨げ、米国の技術競争力を弱めると強調した。現在の分断された規制体系では、企業が遵守すべき基準が複雑化し、AI開発のスピードが鈍りかねないと主張している。
投稿では「AI投資が米国経済を最もホットな経済に押し上げている」としつつ、「50州が別々の規制を敷けばAI競争で追い抜かれてしまう」と指摘した。また、連邦基準が整うまでの暫定措置として「NDAA(米国国防権限法)に盛り込むか、別途法案を可決すれば、アメリカと競争できる国はもはやなくなるだろう」と述べている。
統一基準がもたらす競争力強化と安全性確保の両立が焦点に
連邦基準が整備されれば、企業は複数の州法に対応する負担から一定程度解放され、研究開発や市場展開のスピードを高めやすくなるとみられる。特にスタートアップにとっては、法務コストやコンプライアンス体制の負担が相対的に軽減され、成長を後押しする要因になり得る。また、統一基準の存在は国際競争上のメッセージとして機能し、海外投資の呼び込みにプラスに働く可能性もある。
一方で、規制の一元化によって、州が独自に進めてきた厳格な消費者保護やプライバシー対策が弱まるとの指摘もある。AI活用のリスクは分野によって異なるため、一律の基準では柔軟性が十分に確保されず、現場の課題に応じた運用が難しくなる懸念も拭えない。特に地方自治体の裁量が縮小すれば、地域特性に応じた安全基準の維持が難しくなる可能性がある。
さらに、共和党指導部が※米国国防権限法(NDAA)へのAI関連条項の追加を検討しているとされ、安全保障分野を踏まえた包括的な法体系の構築が進むとの見方も出ている。米国が今後もAI分野で主導権を確保するには、過剰規制を避けつつ、安全性と透明性をどう担保するかというバランスの取れた制度設計が重要になると考えられる。
※米国国防権限法(NDAA):米議会が毎年制定する国防関連予算法。政策条項の付随的追加も多い。
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