デジタルプラットフォーマーとJPYC、地方銀行とステーブルコイン連携検討開始

2025年11月18日、デジタルプラットフォーマー株式会社とJPYC株式会社は、日本円建てステーブルコインJPYCと地方銀行の預金型トークンを活用した業務連携モデル構築に向け、共同検討を開始したと発表した。国内の地方金融機関向けの取り組みである。
地方銀行とJPYCの相互運用で地域金融デジタル化へ
デジタルプラットフォーマーとJPYCは、北國銀行が発行する預金型トークン「トチカ(※1)」とJPYCの相互運用を軸に、地方金融機関との業務連携モデルの検討を開始した。
地域金融機関の信頼性ある預金・送金インフラとブロックチェーン技術を融合させ、地域経済のデジタル化や効率化を推進する狙いがある。
デジタルプラットフォーマーは過去に自治体や地方銀行と連携し、地域通貨やデジタル商品券など複数のブロックチェーン基盤を構築してきた実績を持つ。
2024年には北國銀行と共同で「トチカ」の技術支援を行い、地方銀行が独自にステーブルコインを発行できる環境整備に貢献した。
JPYCは日本円建てステーブルコイン「JPYC」を発行しており、地方金融機関から発行・償還や決済接続に関する問い合わせが増えている。
両社は円預金とJPYCの円滑な連携や、店舗でのJPYC決済手数料の最適化、国内外送金の効率化などの課題を専門家とともに検討する方針である。
将来的にはJPYC取引所を通じた地域トークン間の交換や、国際送金への活用も視野に入れる。各地域に最適化された形でステーブルコインを活用できる環境を整え、地域経済のデジタルトランスフォーメーション推進を目指す。
※1 トチカ:銀行預金を裏付けとして発行される日本初の預金型トークン。1単位が1円に固定され、送金や決済に利用可能。
地方金融連携の波及効果とリスクをどう捉えるか
地方銀行とのステーブルコイン連携は、地域経済のデジタル化や決済効率向上に直接寄与するメリットがある。円預金と連動したトークン活用により、送金時間の短縮や手数料低減が期待でき、加盟店や利用者にとって利便性が向上する可能性が高い。
一方で、規制対応やシステム連携の複雑さは大きな課題である。
円建てステーブルコインの発行・償還業務やスマートコントラクト(※2)運用に関する制度的リスクが存在するため、金融当局や専門家の意見を踏まえた慎重な設計が求められる。
また、導入コストや決済スキームの調整次第では、地方銀行や店舗の負担が増加する可能性もある。トークン流通量や利用率の低さによる収益化の不確実性も無視できない。
将来的には、地域に根ざしたデジタルマネーインフラの形成が期待される。円建てステーブルコインが地域経済に定着すれば、地方銀行の競争力向上や新たな金融サービス創出につながるが、慎重なリスク管理と段階的な導入が成功の鍵になると考えられる。
※2 スマートコントラクト:ブロックチェーン上で自動的に契約や取引を実行するプログラム。
関連記事:
日本初ステーブルコインJPYCが発行額2億円を突破 正式リリースから18日で急拡大

JPYC EXの口座開設が6000件を突破 円建てステーブルコインの利用が拡大












