JR東日本がAI接近検知を相模線へ導入 ホーム安全対策を高度化

2025年11月18日、JR東日本が車両への接近をAIで検知する新システムを発表した。日本国内で進む鉄道の自動化に向けた取り組みの一環で、2026年2月から相模線で運用を開始する計画だ。
相模線でAIによる接近検知を正式導入
JR東日本は、車両側面に搭載したカメラ映像をAIで解析し、乗車位置へ接近する人物を検出する新システムを相模線で本格運用する。
検知対象を特定エリアに限定し、人物が認識された場合に運転士へ通知する仕組みで、ワンマン運転時の確認負荷を軽減するために設計された。
このシステムは、同社研究開発センターが長期的に開発してきた技術を基盤にしている。
従来の「車載ホームモニタシステム」は、カメラ映像を運転席へ表示することを主目的としていたが、新システムではAI処理を追加することで安全確認の自動化を進める方向へ進化した。
開発過程では、遠方の人物が小さく映ることで検知精度が下がる課題が存在した。
これに対し、車両前後の2台のカメラ映像を統合し、視野の欠落を補完する手法が確立されている。2024年にはこの方式が特許として登録され、技術的な裏付けが整った。
相模線での実証は2023年から実施され、多様な天候や時間帯における検知性能の検証が続けられた。AIの学習が進んだことで実運用可能と判断され、2026年度中の全編成への展開に加えて、ホーム混雑が顕著な他線区への導入も視野に入れている。
自動化が促す安全強化と業務効率化の両面評価
AIによる接近検知は、運転士が集中すべき確認項目を減らし、判断の質を維持しやすくするという点でのメリットが大きそうだ。
特にワンマン運転では視認作業の負荷が高いため、システムからの補助が加わることで事故抑止力が高まると考えられる。これにより、安全投資の効果を可視化しやすい局面が生まれるだろう。
鉄道事業の現場では、ベテラン人材の減少を背景に、自動化技術の活用が重要性を高めている。AIによる補助機能が普及することは、限られた要員で安全レベルを維持する基盤づくりに寄与し、持続的な運行体制の構築へ近づくと予測できる。
一方で、AI依存が進むことで新たな課題が出てくる可能性もある。誤検知が発生した場合に運行へ影響が及ぶ懸念や、機器の維持管理にかかるコストの増加が挙げられる。
導入後は、検知精度の継続的調整が不可欠になるだろう。
今後、解析アルゴリズムの高度化が進めば、転落リスクの把握や混雑度推定など、周辺機能の拡張も見込まれる。鉄道インフラのデジタル化が一段と加速するなか、今回の導入は業界全体の技術シフトを後押しする契機となるだろう。
関連記事:
JR東日本、AI音声アシスタントをコールセンターに導入 対応時間短縮と顧客体験向上を狙う

JR東日本、信号トラブル復旧に生成AI導入へ 復旧時間を最大50%短縮












