トリニティーが「熊検知AI」公開 温泉地で進むAIによる熊対策

2025年11月14日、AIカメラ事業を手掛ける株式会社トリニティー(愛知県名古屋市)が、温泉地で増える熊出没への対策としてAIによる検知システム「熊検知AI」を紹介する特設ページを公開した。観光地の安全確保にAIを活用する国内の新たな動きである。
温泉地で相次ぐ熊出没 AIによる早期検知が進む
全国で熊の出没件数が増加しており、山間部や渓谷沿いに立地する温泉地にも影響が及び始めている。
特に秋は温泉利用者が増える一方で熊の活動も活発化し、人との接触リスクが高まるとされる。岩手県では熊による被害を受け、温泉施設が営業を一時休止した例もあるなど、対策は急務だ。
現場では、ごみ管理の徹底や警告用の爆竹、注意喚起看板の設置などが進んでいるが、夜間や見通しが悪い場所では限界がある。
その中で注目されるのがトリニティーの「熊検知AI」である。屋外に設置したAIカメラが熊を自動認識し、スマートフォンに即時通知する仕組みで、遠隔監視によって迅速な判断と行動につながる。
「熊検知AI」はSIMルーター(※)内蔵により通信環境がない山間部にも設置可能で、工事不要の設計だ。電源があれば即日で使用できる。
また、最大2週間の試用が可能で、料金プランは月額14,000円(税込15,400円)から。初期負担なく始められ、検知性能や操作性を確認できる。
※SIMルーター:携帯回線を利用しインターネット通信を行う装置。エリア外では通信不可となるため、導入前の確認が必要。
AI活用で観光地の防災力向上へ 導入拡大に期待と課題
AIによる熊検知の導入は、人的監視の負担を軽減し、特に夜間や死角が多い温泉地で早期対応につなげられる点が大きな利点と言える。
SIMルーターを活用することで通信インフラが不十分な山間部にも設置できること、また、試用期間を設けた料金体系も導入障壁を下げる施策として機能する可能性が高い。
さらに、安全性を訴求することは観光地の信頼性向上につながり得るため、結果的に集客面でもプラス効果が期待される。
一方で、誤検知や通知遅延が発生するリスクは無視できず、AI依存による過信も懸念材料となる。また、通信圏外の問題は山間地域で現実的に起こり得るため、導入前の確認だけでなく、バックアップ手段の構築も必要になるだろう。
今後は観光施設だけでなく、地元住民や行政を巻き込んだ連携体制の整備が進む可能性もありそうだ。
野生動物のリスクを抱える地域において、AI活用は「守りながら楽しむ」ための新たな観光戦略になると考えられる。
株式会社トリニティー AIカメラ・セキュリティシステムのご案内 熊検知AI
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