ドイツのスパコン「JUPITER Booster」が世界4番目の高性能を達成 スパコン競争が激化

2025年11月17日、ドイツのスーパーコンピュータ「JUPITER Booster」が欧州で初めてエクサフロップスを超えたと報じられた。
エクサフロップスは毎秒100京回(10の18乗)以上の計算を実行できる性能指標で、米国産のスパコン以外では初めてこれを達成した。
ドイツJUPITER、欧州初の1エクサフロップスへ到達
2025年11月17日に米ミズーリ州セントルイスで発表されたTOP500第66版では、ユリッヒ研究センターの「JUPITER Booster」が1.000エクサフロップスを記録した。
欧州では初のエクサスケールシステムとして正式に認定された形だ。米国以外での達成は初めてであり、世界では4番目となる。
同システムはEvidenによるBullSequana XH3000を基盤とし、NVIDIA Grace Hopper Superchipを採用した。
液冷方式を採用した高密度構成により、エネルギー効率と実運用性能の両立を図っている。科学研究から産業利用まで幅広く活用される計画で、欧州のデータ主権強化にもつながることが期待される。
今回の発表では、米国のEl Capitanが1.809エクサフロップスで首位を維持し、Frontier、Auroraが続いた。
いずれも米エネルギー省の計画に基づくもので、エクサスケール体制における米国の優位は継続している。
スーパーコンピューターとAIの統合利用が進む中で、混合精度演算(HPL-MxP)におけるJUPITERのポジションも注目される。
混合精度演算とは、計算の一部を高精度(倍精度)で、別の部分を軽い精度(単精度・半精度)で行う方式であり、総計算量を大幅に増やしつつ、エネルギー効率も高められる利点がある。
この分野においても米国勢が依然優位にあるものの、HPC(高性能計算)と生成AIの両方を1台で処理できるよう設計されたGrace Hopper採用機の増加は性能と効率の両面で選択肢を広げる動きであり、欧州のAIインフラ整備にも寄与する可能性がある。
欧州HPC強化の波及と競争激化 研究と産業に広がる影響
JUPITERの稼働は、欧州の研究基盤に大きな拡張効果をもたらすとみられる。
特に、気候モデル、創薬、材料計算、生成AIなど計算需要の高い分野では、従来のプリエクサスケール機では困難だった規模感のシミュレーションが可能になるだろう。
これにより、研究の高速化だけでなく、産業応用での競争力向上も期待できる。
一方で、運用コストやエネルギー確保は課題として残る。
エクサスケール級システムは膨大な電力を消費するため、再生可能エネルギーの調達や冷却効率の改善が求められそうだ。
特に欧州では電力市場の変動が大きく、運用最適化の重要度は高いと言える。
今回のTOP500は、エクサスケールの到達が米国以外で初めて達成され、グローバル競争として広がり始めたことを示す内容であった。
JUPITERはその象徴であり、今後のHPC戦略の転換点になると考えられる。
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