三井不動産とKDDI、災害時のAIドローン遠隔飛行を実証 日本橋のビル屋上で

2025年11月14日、三井不動産株式会社とKDDIスマートドローン株式会社は、日本橋三井タワー屋上でAIドローンの遠隔自動飛行実証実験を実施したと発表した。
大規模災害時の上空からの迅速な状況把握を目的とした国内初の取り組みで、避難訓練に合わせて検証が行われた。
三井不動産×KDDI、災害時想定のAIドローン遠隔飛行を国内初実施
三井不動産とKDDIスマートドローンは、2025年11月13日に行われた避難訓練に合わせ、日本橋三井タワー屋上でAIドローンの遠隔自動飛行実証を実施した。
高層ビル屋上でのAIドローン遠隔飛行の実証は国内で初めてとされる。
実証では、自動充電ポート付きドローン「Skydio Dock for X10」と衛星通信「Starlink Business」を屋上に設置し、首都直下地震などの大規模災害発生時を想定した自動離陸・着陸および周辺映像の撮影を行った。
地上通信の途絶を想定しながら、衛星通信を使った映像伝送の安定性も確認された。
三井不動産は「日本橋再生計画 第3ステージ」においてモビリティ分野を戦略領域に位置づけており、防災機能強化の一環としてドローンの活用を検討してきた。
また、KDDIスマートドローンは国内1,000カ所へのドローンポート設置を目標に掲げ、平時・災害時の遠隔運用体制の拡充を進めている。
今回の実証では、日本橋三井タワー屋上範囲内での垂直飛行により、建物・道路・人流などの広域映像を取得し、迅速な被災状況の把握が可能であることを確認した。
取得映像については、特定個人・建物に焦点を当てない撮影を行い、用途限定・アクセス制限のもとで管理されている。
都市防災高度化への期待と運用課題 常設化で広がる可能性
この実証が示す成果は、都市部での災害対応の高度化に向けて複数のメリットをもたらす可能性がある。
特に、高層ビル屋上にドローンポートを常設することで、平時に運用人員を配置せずとも災害発生直後の迅速な上空撮影が可能になれば、地上から把握しにくい被害や道路状況の早期確認が可能となるだろう。
さらに、衛星通信を併用することで、地上通信網が途絶した際の情報伝達リスクを抑えられる点も評価できる。
一方で、ビルごとの空域管理や飛行ルールの明確化、常設運用時の設備維持コストなど、制度面・運用面の課題は残りそうだ。
ドローン映像の扱いにはプライバシー配慮が不可欠で、社会的な受容性を確保しながら導入を進める必要がある。
今後は、今回の実証で得られた知見をもとに、都市エリアでの常設運用モデルの検証が進む可能性がある。
複数のビルや関係機関が連携して上空データを共有できる体制が構築されれば、災害初動の質の向上や都市のレジリエンス強化につながると考えられる。
技術導入と運用設計が両輪となることで、防災インフラとしてのドローン活用が都市機能の一部に組み込まれていくかもしれない。
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