Appleがミニアプリ事業者向けに手数料15%の新制度 開発者の収益最適化を後押し

2025年11月13日、米AppleはApp Storeでミニアプリを提供する事業者向けに、新たな「Mini Apps Partner Program」を発表した。
ミニアプリ内の対象課金について手数料率が従来の30%から15%へ下がり、開発者の収益性が改善する見通しだ。
Appleがミニアプリ向け新制度で収益構造を改革
Appleは、HTML5やJavaScriptで構築された小規模アプリをホストアプリ内で提供する開発者を対象に、手数料を半減する新プログラムを導入した。
参加開発者は、要件を満たしたミニアプリ内課金について売上の85%を受け取ることが可能になる。
従来の一般アプリよりも優遇される設計で、収益改善を狙う事業者にインセンティブが生まれる形だ。
制度を利用するには、ホストアプリがAdvanced Commerce APIとDeclared Age Range APIなど、Appleが定める複数の技術要件に対応している必要がある。
また、開発者はガイドライン4.7の規定に基づき、ミニアプリの情報をまとめたマニフェストを提出し、事前承認を得なければならない。
対象となるのは、独立した第三者が提供するミニアプリであり、ホスト側が直接または間接的に支配していないことが条件となる。
Appleはこれにより、ミニアプリの透明性と取引の明確化を図りつつ、利用者に一貫した購入体験を提供する狙いだと思われる。
手数料半減が市場を刺激 ただし実装負荷や審査強化も課題に
今回の制度により、ホストアプリ事業者はミニアプリ経済圏を収益源として拡大しやすくなる。とりわけ、ゲーム内課金や期間制サブスクリプションなど単一ミニアプリ内で完結する課金モデルは、手数料圧縮の恩恵を強く受けるだろう。
一方で、実装負荷の増大は避けられないとみられる。Advanced Commerce APIへの対応やマニフェスト作成は作業量が重く、既存アプリを改修する開発者にとってはコスト要因となりうる。
また、Appleは返金処理でのデータ送信などコンプライアンス面の要求も強化しており、運用体制の整備が求められる。
さらに、対象となる「第三者製ミニアプリ」の定義が厳格であるため、ホスト企業が自社提供の小規模機能をミニアプリとして扱って優遇を受けることは難しい。
制度の広がりは、今後の運用基準と審査の透明性に左右されるだろう。Appleがどこまで柔軟にエコシステムを育成するかが、開発者の戦略選択に影響を与えると考えられる。
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