リープ社がサイファーパンクへ社名変更し、ZEC活用の財務戦略を開始

2025年11月12日、米ナスダック上場のリープ・セラピューティクスが社名をサイファーパンク・テクノロジーズへ変更し、暗号資産ジーキャッシュ(ZEC)の購入を発表した。
同社はがん治療薬開発のバイオテック企業でありながら、ZECを財務資産として蓄積する新たなトレジャリー戦略を開始している。
リープ社がサイファーパンク・テクノロジーズに改称しZECを5,000万ドル分取得
リープ・セラピューティクスは11月12日、社名をサイファーパンク・テクノロジーズへ変更し、財務戦略の大幅な転換に踏み切った。
同社はがん治療薬の開発を主力とする企業で、ティッカーシンボルも13日付でLPTXからCYPHへ変更される。
同日、同社はプライバシー保護型ブロックチェーンであるジーキャッシュ(Zcash)のネイティブトークンZECを新たなトレジャリー資産として蓄積する方針を公表した。
購入量は20万3,775.27ZECで、取得総額は5,000万ドルに上る。
1ZECあたりの平均取得額は245.37ドルとなり、企業として大規模な暗号資産投資を実行した形だ。
同社はZECを「デジタル・プライバシーの資産形態」と位置づけ、AI時代における金融インフラの透明性リスクに対するヘッジ手段として保有する意図を示している。
調達資金には、ウィンクルボス・キャピタル主導のPIPE(※)で得た5,888万ドルが充てられた。
同投資会社は海外暗号資産取引所ジェミナイの創業者として知られるウィンクルボス兄弟が運営しており、今回の出資でも中心的な役割を担った。
さらに11月11日付で、取締役会会長にトレジャリー社CEOのキーング・オーエイ氏を、取締役兼最高投資責任者(CIO)にウィンクルボス・キャピタル出身のウィル・マケボイ氏を迎え、経営体制も暗号資産戦略に沿う形へ再編されている。
※PIPE(Private Investment in Public Equity):上場企業が特定投資家に対して実施する私募増資手法。通常の公募に比べ迅速に資金調達できる点が特徴。
バイオ企業の暗号資産転換が示す潮流 ZEC保有の利点と不確実性
今回の社名変更とトレジャリー戦略は、非暗号資産企業が財務資産としてデジタル通貨を本格的に保有する新たな動きを示すものだ。
特にZECは匿名性を特徴とする暗号資産であり、プライバシー保護ニーズの高まりに連動した価値認識が期待される。
AIと金融データが急速に結びつく環境下では、情報追跡の容易さがリスクとなる場合もあり、企業側が防御策としてZECを選択する合理性は一定程度あると言える。
一方で、暗号資産市場は価格変動が大きく、ZEC自体の流動性や規制動向も不透明である。
財務資産として保有する場合、評価損益の影響が企業業績に波及しやすく、投資判断には慎重さが求められる場面も増えるだろう。
とはいえ、デジタル経済圏が拡大する中で、企業が財務戦略の一環としてブロックチェーン資産を取り込む動きは今後さらに広がる可能性がある。
今回の事例は、暗号資産を財務基盤に組み込む企業が業種を問わず出現し得ることを示しており、伝統産業の資本政策にも影響が及ぶ展開が想定される。
Cypherpunk Technologies Inc プレスリリース
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