マスク陣営の独禁訴訟が本格審理へ AppleとOpenAIへの却下棄却が示す重み

2025年11月13日、米テキサス州の連邦地裁は、イーロン・マスク氏率いるXとxAIが起こした訴訟について、AppleとOpenAIの却下要請を退けた。
X・xAIの独禁訴訟、AppleとOpenAIへの却下要請認められず
米連邦地方裁判所は、XとxAIが8月に提起した訴訟について、AppleとOpenAIが求めていた「却下」を認めず、訴訟を継続させる判断を示した。原告側は、両社がスマートフォンOSと生成AIチャットボット市場で支配的な立場を形成し、競争を妨げていると主張している。
判断を下したマーク・ピットマン地裁判事は、この決定は「主張の正否を判断するものではない」と明言し、事実関係や市場支配の有無は今後の審理で詳細に検討される段階だとした。
これに対し、OpenAIは声明で「マスク氏の継続的な嫌がらせのパターンと一致しており、法廷でこれを証明することを楽しみにしている」と述べた。
一方、AppleとXはコメント要請に応じていない。今回の決定により、マスク陣営は提訴の正当性を争う機会を確保した形となる。
AI市場の競争環境に波紋 巨大プラットフォーマー規制の行方と業界への影響
本訴訟の進展により、AIモデルとスマートフォンの統合が加速する米テクノロジー市場に、一定の緊張が生まれる可能性がある。
AppleとOpenAIの組み合わせは利用者基盤の拡大に強みがある一方で、競合が参入しにくい市場構造を招くとの指摘も以前からあった。法廷でこれらの点が検証されることで、競争条件の見直しや市場の透明性向上につながる可能性がある。
メリットとしては、大手企業のデバイス戦略やAI配信ルールが明らかになることで、新規プレイヤーにも開かれた市場環境づくりが進む余地がある点だ。
独禁法の観点から規制が強まれば、アプリ配布条件の緩和やAIモデル接続の自由度が高まり、多様な技術の台頭を後押しする可能性も指摘される。特にxAIのような新興企業にとっては、競争条件の是正が成長機会につながるとの見方もある。
一方で、業界全体が一時的に不確実性を抱えるリスクもある。主要企業が訴訟対応にリソースを割けば、製品開発やパートナー戦略に影響が出る可能性は否定できない。また、市場支配の定義や技術的境界の判断が難しいため、審理が長期化し、規制の方向性が当面不透明となる懸念もある。
今後は、プラットフォーマーの支配力の評価基準やAI提供の公平性、デバイスとAIの統合戦略がどこまで容認されるのかが焦点となる見通しだ。今回の裁判は、米国のAI市場における競争ルールを考える上で重要な事例となり、業界の将来像にも一定の影響を与えるとみられる。
関連記事:
マスク氏のxAI、アップルに対し法的措置を取る方針 アプリ順位操作を主張

イーロン・マスク氏のXとxAI、アップルとオープンAIを米国で提訴 対話型AI市場の独占を主張












