タリーズが公式通販を再開 不正アクセスから1年半、伊藤園体制で安全性を刷新

2025年11月11日、タリーズコーヒージャパンは不正アクセス問題で閉鎖していた「タリーズ 公式オンラインストア」の再開を発表した。2024年5月の情報漏えい疑いを受け停止していたが、伊藤園グループの新基盤へ移行し、セキュリティ体制を強化したうえで、13日から再始動となる。
不正アクセス後の長期閉鎖を経て新ストアを開設
タリーズの公式オンラインストアは、2024年5月に第三者の不正アクセスを受け、個人情報やクレジットカード情報の一部が漏えいした可能性が判明した。この問題を受け、同社は自社通販サイトの全面停止に踏み切った経緯がある。
今回の再開では、タリーズが所属する伊藤園グループのオンラインストア基盤に統合し、会員情報も同グループで共通化される仕組みを採用した。
再開日時は11月13日15時で、旧ストアの個人情報は一切使用しない方針を明確に示している。
同社は発表文で、長期間の閉鎖による不便への謝意を示すとともに、セキュリティと管理体制を改めて強化したと説明した。なお、楽天市場内の公式ショップは従来どおり営業を継続しており、こちらの運営には影響は出ていない。
EC強化と信頼回復へ 再開が示す課題と期待
タリーズが今回の再開に踏み切った背景には、カフェ業界全体で進むEC需要の高まりが考えられる。
ギフト需要や在宅需要が定着する中、自社通販の欠如はブランド体験の連続性を損なう要因となっていたと見られる。再開によって、オンラインと実店舗を横断した商品提供が再び可能になり、販売戦略にも広がりが生まれるだろう。
一方で、企業が不正アクセスを受けた後に信頼を回復するには、単なる再開にとどまらない長期的な改善が求められる。グループ基盤への統合は管理強化につながる反面、情報共有範囲が広がることによる新たな運用リスクも懸念される。
信頼回復を急ぐ局面で、利便性と慎重な安全管理のバランスが問われている状況だと捉えられる。
今後は、どれだけ利用者とのコミュニケーションを継続し、透明性のある情報開示を積み重ねるかが信頼回復の鍵になるだろう。
再開は、再建の入り口であり、ここからの運用こそが企業姿勢を問われる局面になると見られる。
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