トランプ大統領署名で政府閉鎖終結　SECの暗号資産ETF審査も再開へ

2025年11月12日（現地時間）、米国のドナルド・トランプ大統領が連邦政府の暫定予算法案に署名し、史上最長となった政府閉鎖が終結したとCNBCが報じた。主要連邦機関の業務再開に伴い、SECによる暗号資産ETF審査も再開される見込みである。

政府閉鎖終結で連邦機関業務とSEC審査が再開

米連邦政府の閉鎖は10月1日に始まり、医療保険制度改革法（ACA）の税控除延長を巡る与野党の対立が主な原因だった。
暫定予算法案は下院で賛成222票・反対209票で可決され、上院でも60対40でつなぎ予算が成立している。署名により、政府機能は1月末まで暫定的に再開されることになった。

トランプ大統領は署名式で民主党を非難し、閉鎖による公共サービスの停滞や連邦職員への影響に触れ、「二度とこのようなことを起こしてはならない」と述べた。行政管理予算局は職員に11月13日から職場復帰するよう指示している。

この政府再開により、SECの審査業務も再開される見込みだ。現在、米国では複数の暗号資産現物ETF（※）が登録済みであり、SECの最終承認を経れば即座に取引開始が可能な状態にある。
直近では21シェアーズとフランクリン・テンプルトンがXRP現物ETFの修正版S-1申請書をSECに提出している。

さらに、上院農業委員会はデジタル資産市場を規制する討議草案を発表しており、CFTCにデジタル・コモディティの現物取引監督権限を付与する構想も盛り込まれた。政府再開で、こうした法案協議も前進する見込みとなる。

※暗号資産現物ETF：ビットコインやXRPなどの暗号資産を実際に保有し、価格に連動した取引が可能な上場投資信託。米国ではSEC承認後に取引開始できる。

政府再開がもたらす暗号資産市場の影響とリスク

SEC審査の再開は、暗号資産ETFの市場投入を早める効果が期待できる。
承認されれば投資家はより透明性の高い取引環境で資産運用でき、機関投資家の参入も促される見通しだ。市場の流動性向上や価格形成の安定化も見込まれる。

一方、短期的にはETF承認の集中による価格変動リスクも否定できない。
規制の枠組みがまだ途上であることから、SECの判断次第で市場に不確実性が残る状況だ。投資家保護の観点からも慎重な監視が必要といえる。

さらに、CFTC権限強化法案の成立は、現物暗号資産取引の監督を明確化するが、異なる規制当局間の調整コストが増大する可能性もある。ルールの統一性が確立されるまで、取引戦略や商品開発に影響が出ることも考えられる。

長期的には、政府の安定した予算運営と規制明確化が、米国市場における暗号資産ETFの信頼性向上に寄与するとみられる。
投資家や運用会社は、これを契機に中長期的な戦略構築を進める余地があるだろう。

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