JPYC EXの口座開設が6000件を突破 円建てステーブルコインの利用が拡大

2025年11月10日、JPYC株式会社は、日本円建てステーブルコインの発行・償還を行う公式プラットフォーム「JPYC EX」の累計口座開設数が6000件に到達したと発表した。
サービス開始後、短期間で利用登録が進んでいることが明らかになった。
JPYC EXの口座開設数が6000件に到達
JPYC株式会社は、2025年10月27日に日本円建てステーブルコイン「JPYC」を発行・償還するプラットフォーム「JPYC EX」を稼働した。
発表によれば、11月6日時点で同サービスの口座開設数が6000件を超え、短期間で多くのユーザー登録が進んでいる。
JPYCは資金決済法の「電子決済手段」として位置付けられ、日本円と1対1で交換可能であるほか、預貯金と国債によって発行残高の100%以上が保全されている。
JPYC EXでは、発行予約後に銀行振込を行うことで、登録済ウォレットアドレスにJPYCが発行される仕組みを採用している。
償還手続きについても、JPYCを指定アドレスへ送付することで日本円の払い戻しが可能になる。
登録には本人確認が必要で、公的個人認証(JPKI)を用いたマイナンバーカード方式が採用されている。
また、2025年の大阪・関西万博で約100万ダウンロードを記録した「EXPO2025デジタルウォレット」が10月31日に「HashPort Wallet」としてリニューアルされ、JPYCへの対応が予定されている。
さらに10月31日より、総額1億円相当のJPYCを配布する「JPYC1億円あげちゃうキャンペーン」が実施され、利用者拡大につながっている。
利用領域拡大で進む普及 新経済圏形成への期待と課題
JPYCは「オープンな金融インフラ」として設計され、特定の加盟店契約を必要としない点が大きな特徴である。
この構造により、実店舗・EC決済、企業間精算、Web3ウォレット、会計SaaS、クリエイター支援といった幅広い領域で活用の可能性が広がると考えられる。
既存の金融インフラを置き換えるものではなく、補完的に利用できる点も事業者にとって利点となる。
メリットとしては、円建て価値を維持しながら高速・低コストなオンチェーン送金が可能になるほか、企業にとっては資金移動の透明化や業務効率化に寄与する可能性がある。
個人においても、暗号資産特有の価格変動リスクを避けつつ、ブロックチェーンの利便性を享受できる点が評価される。
一方で、ステーブルコインの普及が進むほど、発行・償還プラットフォームの安定運用や不正送金対策など、運営面のセキュリティ要件は一層高まると考えられる。
また、急速な利用拡大に伴うシステム負荷や、利用者が増えることで問われる説明責任の強化なども課題として浮上しうる。
総じて、円建てステーブルコインの価値が国内外で認知されれば、新たな経済圏を形成する原動力となる可能性があり、今後の展開に注目がされる。
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