ラクスが「楽楽販売」にAIアシストを無償搭載 中小企業の販売管理を高度化

2025年11月10日、国内SaaS大手のラクスは、販売管理システム「楽楽販売」において新機能「AIアシスト機能」を提供開始した。
AIによる業務フロー整理と担当者サポートを組み合わせ、導入準備を効率化する仕組みを追加費用なしで利用できるようにした。
AIが設定作業を自動化 販売管理システム導入を容易に
ラクスは11月10日、クラウド型販売管理システム「楽楽販売」において、新機能となる「AIアシスト機能」の提供を開始した。
本機能は、AIが提示する質問に沿って選択肢を選ぶだけで業務フローを整理し、必要なデータベース構成を自動提案する仕組みである。
追加費用は不要で、標準機能として全ユーザーが利用できる。
楽楽販売は見積もりや受発注、請求、発注といった幅広い販売管理業務を一元化できるサービスで、複雑な金額計算や毎月のデータ作成作業を自動化する特徴がある。
高いカスタマイズ性により業界を問わず導入されてきたが、業務フローの設計には一定の知識が必要で、構築負担が課題とされてきた。
今回のAIアシスト機能は、設計工程の負荷を大幅に軽減することを目的として開発された。
AIが作成した構成案をもとに、従来通り専任担当者が個社の要件に合わせて最適な運用方法を提示するため、「AI×ヒト」による精度とスピードを両立した導入が可能となる。
リリース時点では「売上」「原価」「収支」の主要領域を対象とし、迅速な業務改善を後押しする。
さらに同社は2026年内に、データベース内容や自動処理の組み合わせまで踏み込む「要件化アシストAI」への拡張方針を示しており、販売管理の自動化範囲は今後広がる見通しだ。
販売管理の効率化が進展 導入ハードル低下で普及拡大も
AIアシスト機能の無償提供は、販売管理システムの導入ハードルを下げ、中小企業を含めた利用拡大につながる可能性がある。
専門知識がなくても設定の骨格をAIが示すため、従来数週間を要した要件整理が短縮される見込みだ。
導入準備にかかる人的リソースを抑えられる点も企業にとって大きなメリットとなる。
一方で、AIが自動生成する構成案がすべての業務モデルに完全適合するとは限らず、調整工程が発生するリスクも残る。
ただし、担当者サポートを組み合わせた二段構えの体制により、この懸念は一定程度カバーできると考えられる。
2026年に予定される高度版「要件化アシストAI」の実装が進めば、システム構築の自動化はさらに進み、SaaS導入プロセスそのものが転換点を迎える可能性がある。
販売管理の高度化と効率化が求められる中、AI活用の広がりが企業のデジタル化戦略にどのような影響を与えるか、今後の動向が注目される。
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