米CFTC、個人向け暗号資産現物商品を年内導入へ DCM先導で取引開始か

2025年11月10日、米商品先物取引委員会(CFTC)が個人向け暗号資産現物商品の導入を推進していることが報じられた。暫定委員長キャロライン・ファム氏が取引所との協議を進めており、自身のXで報道内容を認めている。
CFTCが現物暗号資産取引の市場整備を加速
CFTCは現行の法的権限を活用し、個人向け暗号資産現物商品を取り扱う市場整備を進めている。報道によると、暫定委員長ファム氏は複数の規制対象取引所と面会し、商品ローンチに向けた協議を実施中である。
これまで米議会では現物暗号資産市場への権限付与が議論されてきたが、法案成立には至っていない。それでもCFTCは既存権限の範囲内で迅速な政策提言を行い、年内の取引開始を目指している。
具体的には、CFTC登録契約市場(DCM)でのレバレッジ付き現物取引が想定され、ビットコインやイーサリアムを対象にした取引が可能になる見通しだ。
報道によれば、すでにDCM認可を取得している取引所が市場投入を先導すると見られる。
さらに、CFTCはステーブルコインを担保資産として認めるトークン化政策の導入も検討しており、来年上半期のパイロット実施が見込まれる。ファム氏はこの仕組みを「ステーブルコインのキラーアプリ」と位置付け、金融市場での実用拡大を意図している。
また、ファム氏は組織再編や執行部門の整備も進めており、任期終了後は暗号資産インフラ企業ムーンペイに移る計画が報じられている。後任として、トランプ大統領指名の米証券取引委員会(SEC)マイク・セリグ氏が控えている状況だ。
個人投資家参入拡大の期待とリスクをどう見るか
個人向け現物暗号資産商品の導入は、投資家層の裾野拡大につながる可能性がある。
従来は機関投資家中心だった市場に個人が参加しやすくなるため、流動性の向上や価格発見の効率化が期待される。
また、ステーブルコインを担保としたトークン化が進めば、取引環境の安定性も高まると考えられる。
ただし、新規参入者のリスク管理は重要な課題となるだろう。
現物取引にレバレッジが付与される仕組みが導入されれば、価格変動により損失が膨らむリスクが高まる。投資教育や適切な情報開示が不十分な場合、個人投資家の損失が増える懸念もある。
また、議会による明確な権限付与がなくともCFTCが独自に市場整備を進める形となるため、法的安定性や政策変更の影響に注意が必要だ。市場参加者は柔軟な対応が求められるだろう。
長期的には、個人参入の拡大が暗号資産市場の成熟や金融イノベーションを促す一方、過剰な投機や規制の不整合による混乱も懸念される。
投資家保護と市場成長のバランスをどのように取るかが、今後の課題と言える。
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