Gen-AXとソフトバンク、先端AIオペレーター「X-Ghost」正式提供開始

2025年11月10日、Gen-AX株式会社とソフトバンク株式会社は、コンタクトセンター向け自律思考型AIオペレーター「X-Ghost(クロスゴースト)」の提供開始を発表した。
三井住友カードとの実証実験を経て、エンタープライズ向けに販売を本格化する国内の取り組みである。
AIオペレーター「X-Ghost」が企業の顧客対応効率化を実現
Gen-AXは、AIが自律的に考え顧客と自然な音声対話を行う「X-Ghost」を正式に提供開始した。X-Ghostは24時間365日対応可能な音声対話AIエンジンを搭載し、モニタリングAIによるリスク判定やガードレール制御で安全性を確保している。
また、最先端のSpeech-to-Speechモデルを採用することで、従来の音声認識と音声合成を組み合わせた際に生じていた情報欠損や誤り伝搬を解消し、より自然な会話を実現する。
API連携機能により、会話文脈に応じた顧客社内システムの呼び出しも可能である。
導入支援の体制も整えられた。業界別テンプレートを反映した導入支援ツールを提供し、JDSCやシグマクシスなど複数のコンサルティングパートナーが伴走することで、設計から運用、改善までをワンストップで支援する。
背景には、国内コンタクトセンター市場の成長と人手不足がある。2024年度には市場規模が2兆円規模に達すると予測され、音声認識市場も年平均16.9%で拡大する見通しだ。
一方で、AI導入後のユースケース設計やデータ品質維持が難しく、多くの企業で現場運用が進まない課題が存在している。
ソフトバンクは国内大企業との取引実績を活かし、提案・販売と伴走支援を提供することで、X-Ghostの早期定着を目指す。
Gen-AXは今後、SaaS拡張や多言語対応、マルチモーダル化を進め、自治体や公共分野などでの実装も検討していく計画だ。
AI導入のメリットと課題 業務効率化と顧客体験の両立
X-Ghostの導入により、企業は24時間365日の自動応対が可能となり、顧客対応の迅速化と人的負担の軽減を同時に実現できると考えられる。
特に、従来の労働力不足や高い離職率に悩むコンタクトセンターでは、業務知識の継承や応対品質の維持に寄与する可能性がある。
一方で、AI導入後の運用管理やデータ品質維持の課題も残る。
継続的な改善や現場への定着が不十分な場合、期待した効果を得られないリスクがあるため、伴走型コンサルティングによるサポートが重要になりそうだ。
さらに、X-Ghostは企業の顧客対応データを活用するため、情報セキュリティやプライバシー保護への配慮も欠かせない。
適切な運用ルールや管理体制を整えることで、リスクを最小限に抑えつつ、業務効率の向上にもつながるとみられる。
長期的には、AIが人の代替ではなく「共働する存在」として定着すれば、企業の顧客体験設計は大きく変わる可能性がある。顧客対応のパーソナライズ化が進めば、サービス産業における「おもてなし」の定義そのものが再構築されるだろう。
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