バフェット氏の偽AI動画が拡散 バークシャーが「詐欺的内容」と警告

2025年11月6日、米投資会社バークシャー・ハサウェイは、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の姿と声をAIで生成した偽動画が動画投稿サイト「YouTube」で拡散しているとして警告を発した。
YouTubeで拡散「バフェット氏になりすまし」 AI生成の偽動画に注意喚起
バークシャー・ハサウェイは、人工知能(AI)を用いて生成されたウォーレン・バフェット氏の偽動画が出回っていると発表した。
問題の動画は「ウォーレン・バフェット:50歳以上の人向けの投資情報(必見)」と題され、あたかも本人が高齢者に向けて投資助言を行っているように装っている。
同社によると、映像に流れる音声は「明らかに」バフェット氏のものではなく、本人が発言していない内容を語っているという。
バークシャーは声明で、「バフェット氏をあまり知らない人は、これらの動画を信じて、コンテンツによってだまされるかもしれない」と警告した上で、「バフェット氏は、こうした類いの偽動画が拡散するウイルスと化しつつあることを憂慮している」と強調した。
ディープフェイク拡散が招くリスク 著名人悪用で信頼構造が崩壊も
今回の事例のように、偽動画は視覚的な信頼性を悪用する形で受け手を欺く危険が高く、特に高齢層やAIリテラシーが十分でない層は誤情報の影響を受けやすいと考えられる。
バフェット氏のような著名人が標的にされることでなりすましの説得力が増し、金銭的被害や風評リスクが拡大する点も看過できない。
さらに、プラットフォーム側の検知技術が追いつかない場合事後対応が中心となり、拡散を完全に抑えることは困難になるだろう。
AI生成技術は、情報伝達の効率化や『創作の民主化』を進め、デジタルアバター活用の可能性も広げた。一方で本件が示すように、デメリットは極めて深刻だ。
今後は、AI生成コンテンツの真贋判定技術やデジタル署名の標準化が急速に進むと予測される。特に米国や欧州ではプラットフォームに対し、偽動画の明示的なラベリングや検知義務の強化が議論されており、規制面の整備が主要な流れになるだろう。
また、生成AIの透明性を高めるための「ウォーターマーク」導入が業界全体で求められる可能性も高い。
最終的には、AI生成物の流通経路に透明性を持たせる仕組みが社会基盤として求められ、デジタル空間での信頼構築が新たな課題として浮上していくだろう。
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