鳥取県、「情報的健康」教育を本格展開 SNS時代の新リテラシー育成へ

2025年11月9日、株式会社Classroom Adventureは、鳥取県および慶應義塾大学・東京大学の研究者と連携し、県民の情報リテラシーを高める「情報的健康とっとりプロジェクト」を本格的に展開すると発表した。
SNS時代の情報被害防止を目的に、体験型教育を通じて県内で啓発活動を進める。
鳥取県、全国初の「情報的健康」推進モデルを構築
鳥取県は2025年6月に全国初の「情報的健康」プロジェクトを立ち上げ、県庁横断で情報リテラシー教育に取り組んでいる。
デジタル局を中心に、教育委員会や警察本部、福祉保健部などが連携し、偽情報や闇バイト被害の防止、特殊詐欺対策など幅広い施策を進めている。
「情報的健康」とは、食事の栄養バランスに例え、情報も偏りなく安全に摂取する考え方を指す。
フェイクニュースや誹謗中傷に惑わされず、信頼性を見極める力を育むことが目的である。
Classroom Adventureは、この理念をもとに県内で体験型教育を展開する。
特に若年層を対象に、謎解きゲーム形式の学習教材「レイのブログ」「レイの失踪」を活用した出張授業を行う。
生徒は物語を通じてファクトチェックや犯罪防止の思考を実践的に学ぶ仕組みだ。
また、2025年10月から11月にかけて、鳥取大学や米子高専など県内5校で「情報的健康スクールキャラバン」を実施。
ワークショップや生成AI体験、動画制作を通して情報の正しい扱いを学ぶ場を提供する。
さらに学生と連携し、ショート動画やマンガによる啓発コンテンツも制作・配信する計画である。
Classroom Adventureは今後、鳥取県での取り組みの成果をもとに、全国に展開する意向を示している。
行政・教育・民間の連携で広がる情報教育モデルの可能性
本プロジェクトは、行政・教育機関・企業が一体となり、県民全体の情報感度を底上げする全国初の試みとして注目される。
特に、若者のSNS利用が日常化する中で、情報リテラシーを「体験型」で教える手法は実効性が高いと考えられる。
フェイクニュースへの耐性向上や、闇バイト勧誘などへの早期警戒が期待できる。
一方で、教育現場での導入拡大には教員研修や教材整備などの課題も残る。
県と民間の協働体制をどう維持し、継続的な啓発へつなげるかが今後の焦点となるだろう。
鳥取県のこの取り組みは、急速に変化するデジタル社会において「情報を正しく食べる力」を育むモデルケースといえる。
鳥取発の試みが、地方から全国へ広がる新たな情報教育の基盤となる可能性がある。
株式会社Classroom Adventure プレスリリース
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