羽田空港跡地に「HANEDAえんパーク」誕生へ 実証実験・ロボット体験で新拠点に

2025年11月6日、東京都大田区が「羽田空港跡地第1ゾーン都市計画公園事業」において、株式会社かたばみを代表法人とする6社共同体「羽田みらいパークマネジメント」を設置予定者に選定したことが明かされた。
2028年4月の開園を目指し、地域連携と先端技術を融合した新たな都市型公園「HANEDA“えん”PARK」構想が始動する。
羽田空港跡地、3.2万㎡の都市計画公園に 実証実験やロボット体験施設も整備
大田区が推進する「羽田空港跡地第1ゾーン都市計画公園事業」では、6社から成る「羽田みらいパークマネジメント」が設置予定者として選定された。
代表法人は株式会社かたばみで、NTTアーバンバリューサポートや鹿島建物総合管理などが参加する。2026年7月の着工、2028年4月の供用開始を予定している。
本事業は、羽田空港跡地の歴史と立地特性を踏まえ、「HANEDA“えん”PARK」をコンセプトに整備される。
地域の“縁”、回遊を生む“円”、人々が集う“園”を意味する「えん」を軸に、地域住民との交流と企業の技術実証を両立させる新しい公園モデルを目指す。
整備面積はおよそ32,700㎡で、広場や園路、屋外トイレなどの基本施設に加え、町工場の技術を活かした実証実験エリア、ロボット体験施設、カフェやブルワリーを備える。
Park-PFI(※)の手法を活用し、民間活力によって維持管理と収益化を両立させる仕組みとなる。
また、隣接する羽田イノベーションシティと連携協定を結び、ビジネス・観光・地域文化が交差する回遊型拠点としての役割も担う。
天空橋駅から徒歩3分とアクセスも良く、空港と市街地をつなぐ新たな玄関口としての機能が期待されている。
※Park-PFI:Park-Private Finance Initiativeの略。民間事業者が公園内の収益施設を整備・運営し、その利益で公共施設を維持管理する制度。
地域産業と観光の融合拠点へ 技術実証と公園経営の両立に課題も
HANEDA“えん”PARKは、地域産業と来訪者をつなぐ「オープン・リビングラボ」としての可能性を持つ。
町工場の技術を活かした実証実験エリアは、スタートアップや研究機関が参画する実践型の検証フィールドとなり、ものづくり産業の再興と教育機会の創出を促すだろう。
観光面でも、羽田空港に隣接する立地を活かし、国内外からの来訪者に「体験型の都市公園」としてアピールできる点が強みだ。
一方で、官民連携事業としての持続性が課題に挙がる。民間主導による方式では、収益施設の運営が公園維持費の原資となるため、需要変動や観光客数の影響を受けやすい。
さらに、実証実験やイベント利用が進むほど、静的な憩いの場としてのバランスが問われることも予想される。
それでも、産業・地域・観光を結ぶ複合的な公園モデルは、東京湾岸エリア再開発の象徴となり得る。
HANEDAえんPARKは、都市の成長と地域共生の新しい形を探る試金石となるだろう。
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