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    イングランド銀行、ステーブルコイン規制案公表へ 保有限度額を設定

    2025年11月6日、イングランド銀行(BoE)のサラ・ブリーデン副総裁は、ステーブルコインに関する新たな規制制度を「米国と同じ速さで導入する」と表明したと、ブルームバーグ(Bloomberg)が報じた。10日に制度案を公表し、2026年末の施行を目指す。

    目次

    英中銀、ステーブルコインの保有限度を設け段階的導入へ

    イングランド銀行は11月10日にステーブルコイン規制の提案制度を公表予定で、個人には2万ポンド(約402万円)、企業には1000万ポンド(約20億円)の保有限度額を設ける見通しを示した。

    ブリーデン副総裁は「米国と同じ速さで導入する」と強調。米国で7月に可決された「ジーニアス法(GENIUS Act)」(※)と並行する形で、2026年末までの施行を目指す方針だ。
    この発言は、英国が規制対応で遅れを取っているとの業界の懸念を払拭する狙いがあるとみられる。

    制度上の大きな違いは、保有限度額を設ける点にある。
    副総裁は、制限は一時的な措置であり、ステーブルコインが銀行融資や住宅ローン市場に与える影響が軽減され次第、解除されると示している。
    また、「制限が問題になるとの声もあるが、実際には大きな障害にはならないだろう」と説明した。米国とは異なり、商業銀行が住宅ローン供給を担う英国では、預金の流出が信用供与機能に波及するリスクが高いため、より慎重な姿勢を取るとしている。

    加えて、「米国では住宅ローンはファニーメイやフレディマックが証券化して市場で資金を調達しているが、英国では商業銀行が貸し出しの中心」と述べた。

    ※ジーニアス法(GENIUS Act):米国の決済用ステーブルコインを対象とする初の包括的連邦法であり、発行残高を安全性と流動性の高い資産で100%裏付けることを義務づける。発行主体を認可機関に限定し、1:1償還や毎月の監査を通じて透明性を担保することで、消費者保護とドル基軸体制の強化を図る。

    英米規制の協調で国際ルール整備が加速へ 透明性と金融安定が焦点

    英国がステーブルコイン規制を導入する意義は明確である。
    最大のメリットは、金融システム全体の安定性を確保しつつ、国際的なルール形成に主導的に関与できる点にある。特に保有限度額の設定は、急速な資金移動による預金流出を抑え、銀行の信用供与機能を守る防波堤となるだろう。
    「米国と同じ速さで導入する」という姿勢は、金融市場の安定とイノベーション促進の両立を図るための現実的な判断といえる。

    一方で、保有限度額の設定は市場成長の足かせとなる可能性を否定できない。特に企業向けの上限が高額とはいえ、国際的なステーブルコイン決済の大規模利用を制約する懸念がある。
    また、制度が「一時的措置」とされながらも、その解除基準が曖昧な点は市場の不確実性を高める要因となり得る。

    英国の新制度は、米国のジーニアス法と並行して実装されることで、国際的なデジタルマネー規制の標準化を後押しするだろう。英米が歩調を合わせることで、ステーブルコインの裏付け資産や監査体制に共通基準が形成され、各国が追随する流れが加速すると考えられる。
    今後、ステーブルコインを国際決済インフラとして位置づける動きが加速すれば、英米協調は世界的なルール形成の起点となる可能性がある。

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