ヤマト運輸、当日配送を全国展開 同一都道府県内運賃も導入

2025年11月5日、ヤマト運輸株式会社は新たに「宅急便当日配送サービス」と「同一都道府県内運賃」を発表した。10日から全国で提供を開始し、午前中に預けた荷物を当日中に届ける仕組みを整える。
宅急便の当日配送と都道府県内運賃を同時導入 利便性と柔軟性を両立
ヤマト運輸は、社会や顧客の多様化するニーズに対応するため、宅急便サービスの拡充に踏み切った。
今回の新施策では、午前中に営業所へ持ち込まれた荷物を当日中に届ける「宅急便当日配送サービス」と、配送距離に応じて料金を細分化する「同一都道府県内運賃」を新たに設定する。
当日配送サービスの対象は、宅急便・クール宅急便・宅急便コンパクト・宅急便コレクトの4種で、全国の営業所(一部を除く)で利用できる。追加料金は通常運賃に550円(税込)を上乗せし、沖縄県発着の場合は330円とされている。
同一都道府県内運賃では、従来の地帯別区分を見直し、都道府県単位で新たな料金設定を導入する。個人顧客を対象とし、家庭菜園の野菜やイベント用品など地域内の小規模配送に最適化されている。
たとえば東京都内で60サイズの荷物を送る場合、現行の940円だった運賃が790円に引き下げられる。
ヤマト運輸は今後も、顧客利便性の向上と宅急便事業の基盤強化を両立させる方針を示している。
当日配送の波及効果とメリット・リスク
当日配送サービスは顧客満足度向上に直結する可能性がある。
特に時間的制約が厳しい法人顧客は、納品や試作品送付の効率化で業務負担が軽減されると考えられる。個人顧客にとっても、急ぎの贈答品や仕送りを即日で手配できることは非常に便利なサービスとなるだろう。
一方で、運営側には物流計画の精緻化や人的リソースの確保が求められそうだ。
午前中に集中する荷物の処理能力や配送ルートの最適化を怠ると、品質低下や遅延リスクが増大する可能性がある。
さらに、追加料金を負担できない顧客層にとっては利用障壁となりうる。特に沖縄発着や大口荷物ではコスト増が顕著になり、利用行動に影響を及ぼすことも想定される。
長期的には、当日配送の普及により即時性の高い物流ニーズが拡大するだろう。
競合他社も同様のサービスを強化する可能性が高く、宅急便市場における競争はより迅速かつ柔軟なサービス提供が求められる局面に移行すると言える。
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