ブリッジウォーターが米株の「AIバブル」に警鐘 過度な楽観が市場を歪める

2025年11月3日、米ヘッジファンド大手ブリッジウォーター・アソシエイツの共同最高投資責任者(CIO)3人が、AI(人工知能)ブームを背景とする米株式市場の過熱に警鐘を鳴らした。投資家がリスク拡大を見落としているとし、AI関連投資が実体経済を支えるだけの収益を生み出せていないと指摘している。
AI関連株の期待が過熱 ブリッジウォーターが「成長の限界」を示唆
ブリッジウォーターの共同CIOであるボブ・プリンス氏、グレッグ・ジェンセン氏、カレン・カーニオール・タンブール氏は、顧客向けノートで「米株式市場はAI関連銘柄を中心に、あらゆる企業が好条件を享受し続けるという前提で価格が形成されている」と分析した。成長期待は「ITバブル期を除けば、100年で最も楽観的な水準」に達しているという。
S&P500指数は2025年に入り約16%上昇し、過去最高値を更新している。特にAIインフラ開発やクラウド関連への巨額投資は進むものの、短期的には収益性の裏付けが乏しいとした。
また、米国経済には依然として高金利やインフレ懸念、政権運営の不透明さといった不安要素が残る。それにもかかわらず、リスク指標は安定したままであり、市場は「予測不能かつ極端な結果が生じうる不愉快なほど高い確率」があると警告した。
AI市場の拡大は成長機会かリスクか 投資家心理が左右する今後
AIを中心とするテクノロジー投資は、企業の生産性向上や新たな産業創出につながる可能性を持つ。生成AIやクラウド基盤の発展が進めば、長期的には経済の効率化や新市場形成に寄与する可能性もある。
一方で、ブリッジウォーターが指摘するように、市場が短期的な成果を過度に織り込めば、その反動は大きくなるおそれがある。
実際、AI関連企業の中には投資負担が利益を圧迫していると指摘される例もあり、成長期待に資金が集中する構図には警戒が必要だ。今後は、技術の社会実装がどの程度収益化に結びつくかが焦点となる。
投資家心理はAI市場の方向性を左右する重要な要素であり、AIブームが持続的な経済成長へと結びつくのか、それとも一時的な熱狂に終わるのかを見極める冷静な視点が求められる。
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