講談社、ハリウッド拠点の映像制作会社設立　海外実写化を加速

2025年11月4日、講談社はハリウッドに新会社「Kodansha Studios」を設立したと発表した。マンガや小説の海外実写化を戦略的に推進し、グローバル市場での存在感を高める狙いがある。

講談社初、ハリウッド制作拠点で海外展開に本格参入

講談社は、アカデミー賞受賞監督クロエ・ジャオ氏とプロデューサーのニコラス・ゴンダ氏を迎え、新会社「Kodansha Studios」を設立した。
ジャオ氏が最高クリエイティブ責任者（CCO）、ゴンダ氏が最高執行責任者（COO）を務め、講談社専務取締役の森田浩章氏がCEOに就任する。

11月4日の設立発表会見では、両氏と講談社社長の野間省伸氏が登壇し、ハリウッド拠点での制作体制や出版コンテンツを基にした海外実写化の取り組みを説明した。
新会社は、マンガや小説の映像化にとどまらず、国際的な企画・制作パートナーシップ構築も視野に入れている。

ジャオ氏は『ノマドランド』でアカデミー賞主要3部門を受賞し、マーベル・スタジオ作品『エターナルズ』にも関わった実績を持つ。
一方、ゴンダ氏は没入型体験やインタラクティブ映像プロジェクトで実績があり、ディズニーやワーナーとの協業経験がある。

講談社は『進撃の巨人』や『東京リベンジャーズ』など、海外でも評価の高い作品を数多く抱えており、今回の拠点設立により、映画会社任せだった実写化プロセスに自社が主体的に関与できる体制となる。

海外拠点設立の影響とリスク　グローバル展開の加速と制約

Kodansha Studiosの設立は、日本コンテンツの海外実写化におけるスピードと品質向上に直結すると考えられる。
企画段階からクリエイティブ統括者が関与することで、原作の特色を損なわず、グローバル視点での映像化が可能になる。これにより、海外市場での収益拡大やブランド認知度の向上にも貢献する見込みだ。

一方、海外制作には現地規制や文化差、コスト増といったリスクも伴う。
特にハリウッドでの撮影・キャスティング・配信契約における調整は複雑であり、国内出版事業との連携が不十分な場合、スケジュールやコスト面で課題が生じる可能性がある。

さらに、世界的映像市場は競争が激しく、既存の米国大手スタジオや新興ストリーミング企業との競合は避けられない。講談社が新設スタジオでどの程度独自性を出せるかが、海外展開の成功を左右する要素となるだろう。

それでも、原作出版から映像化までのプロセスを自社で一貫管理できる体制は、コンテンツ戦略上の大きな強みと言える。
将来的にはデジタル配信や体験型プロジェクトを組み合わせた複合展開も可能で、講談社ブランドのグローバルプレゼンス向上に寄与するとみられる。

講談社 プレスリリース