アニモカブランズ、ナスダック上場計画 カレンクGと逆さ合併契約締結

2025年11月3日、ブロックチェーン大手アニモカブランズ(Animoca Brands)は、米ナスダック上場企業のカレンクグループ(Currenc Group)との上場計画を発表した。
合併後は新会社がナスダックに上場し、グローバルなブロックチェーン事業展開を強化する見通しだ。
アニモカ、カレンクGと逆さ合併でナスダック上場へ
カレンクグループは、AIを活用した金融機関向けソリューションやデジタル送金事業を展開する米国企業で、現在ナスダックに上場している。
同社は11月3日、香港拠点のアニモカブランズと逆さ合併(※)に関する拘束力のない契約を締結したと発表した。
合併が実現すれば、カレンクがアニモカの発行済み株式を100%取得する一方、新会社の株式の95%はアニモカ株主が保有し、残る5%をカレンク株主が保持する構造となる。
新会社は「アニモカブランズ」の名称を継承し、クロージングは2026年を予定している。
カレンクの既存事業は合併完了前に売却・分社化される計画で、主力のAIソリューションなどは現株主のもとに残される。
取引完了後、新会社はデジタル資産管理、RWA(現実資産のトークン化)、およびブロックチェーンアプリ開発などを柱に、機関投資家と個人ユーザーの両市場で事業拡大を図る方針だ。
アニモカは2020年にオーストラリア証券取引所(ASX)から上場廃止されたが、以降もWeb3分野で積極的な投資を継続してきた。
2022年の資金調達時には評価額59億ドルに達しており、今回の合併により再び上場企業としての地位を取り戻す可能性が高まった。
※逆さ合併:上場企業が非上場企業を買収する形をとり、実質的に非上場側が上場を果たすスキーム。上場手続きを簡略化できる一方、財務透明性の確保が求められる。
Web3企業の上場再編に波及も AI融合戦略が焦点に
今回の合併は、AIとブロックチェーンの融合を軸にした新しい企業モデルの象徴といえる。
特に、AIソリューションを有するカレンクと、NFTやメタバース事業を展開するアニモカの組み合わせは、技術的補完関係が強い。
Web3領域では、生成AIによるデジタル資産管理や、スマートコントラクトに基づく金融自動化が急速に進展しており、両社の統合はその潮流を後押しする可能性がある。
一方で、逆さ合併による上場は手続きが複雑で、規制当局による審査も厳格になる見通しだ。
アニモカは過去に暗号資産事業を理由に上場廃止となった経緯があるため、米国市場における法的透明性や会計基準への適合が課題として残る。
それでも、香港や中東での上場構想を経てナスダックを選んだ点は、資本市場での国際的信頼回復を狙う動きとみられる。
今後の進捗次第では、Web3企業の資金調達戦略やAI統合モデルに新たな方向性を提示する事例となり得るだろう。
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