ワールド、ミシカルゲームズと提携 World ID導入で不正排除と公正性向上へ

2025年10月30日、暗号資産プロジェクトのワールド(World)は、米ブロックチェーンゲーム開発企業ミシカルゲームズとの提携を発表した。
ワールドの個人認証機能「World ID」がミシカルゲームズの複数タイトルに導入される予定で、ゲーム内のボット対策と公正な取引環境の実現を目指す。
World ID、ミシカルゲームズの複数タイトルに統合へ
ワールドは10月30日、ミシカルゲームズとの業務提携を発表した。
この提携により、ワールドが開発する個人認証機能「World ID」が、ミシカルゲームズの運営するブロックチェーンゲームに導入される。
「World ID」は、人間であることを暗号的に証明する「プルーフ・オブ・ヒューマン(※)」技術を用い、ゲームへのログイン認証、不正アクセス防止、ボット排除、公平なアイテム配布などを可能にする仕組みだ。
ミシカルゲームズは「NFLライバルズ(NFL Rivals)」「FIFAライバルズ(FIFA Rivals)」「パジーパーティー(Pudgy Party)」などのタイトルを展開しており、これらのゲームにWorld IDが段階的に実装される予定である。
同時に、ミシカルゲームズが運営するブロックチェーン「ミソスチェーン」が、ワールドの開発する「ワールドチェーン」上に構築される初のレイヤー3(L3)となることも明らかにされた。
ワールドチェーンはイーサリアムを基盤とするレイヤー2(L2)ネットワークであり、ミソスチェーンはこれにより高いセキュリティと低コスト・高スループットの両立を実現する。
2024年1月には、ゲーム業界全体のボット関連トラフィックが約1,470億リクエストに達し、前年同月比で6倍以上に増加しており、不正対策の重要性が高まっている。
※プルーフ・オブ・ヒューマン:ブロックチェーン上で「ユーザーが人間であること」を暗号的に証明する技術。顔認証などの生体情報を用い、ボットや不正アカウントの排除を目的としている。
AI・Web3融合で生まれる「人間中心」設計 ゲーム経済の健全化へ
今回の提携は、AIとWeb3の融合によって「人間が主体の信頼インフラ」を形成する試みとして注目できる。
ボットの排除による公正な取引環境の確立は、NFT(非代替性トークン)やトークン経済を取り入れたブロックチェーンゲームにおいて特に効果が大きいと考えられる。
これにより、プレイヤー同士が実際のスキルや戦略で競い合う純粋なゲーム体験が可能になるだろう。
一方で、個人認証を伴う仕組みには、プライバシー保護やデータ管理の懸念もある。
生体情報を暗号化して処理するとはいえ、ユーザーが安心して利用できるためには、データ運用の透明性と技術的説明責任が求められる。
また、ワールドチェーンの設計思想である「人間優先のブロックスペース」は、AIや自動化が進む中で、ボットによるリソース独占やガス価格上昇を防ぐ新たなインフラモデルとなる可能性がある。
AI主導のデジタル経済が加速する中で、今回の提携は「AI時代の信頼性」を担保する次世代インターネットの基盤づくりに一歩踏み出したといえる。
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