JPYC、発行額1億円突破 国内ステーブルコイン市場に新潮流

2025年11月5日、日本円建てステーブルコイン「JPYC(ジェーピーワイシー)」の発行額が1億円を超えた。
JPYC、7日で1億円突破 複数チェーンで利用拡大
JPYC社が発行するステーブルコイン「JPYC」は、10月27日の正式リリースから6日後の11月2日に発行額1億円を突破した。
JPYCは、イーサリアム(Ethereum)、アバランチ(Avalanche)、ポリゴン(Polygon)の3つのブロックチェーンで発行されている。
11月5日時点では、発行量が最も多いのはポリゴンで約6,100万JPYC、次いでアバランチが約3,100万JPYC、イーサリアムが約3,000万JPYC。JPYC社は各チェーンで事前に4億円分のJPYCを発行し、ユーザーへの送金量をもって発行額を算出している。
正式リリースと同時に公開された専用プラットフォーム「JPYC EX(ジェーピーワイシーエクス)」では、ユーザーが日本円を銀行振込することでウォレットにJPYCを発行できる仕組みを採用している。
償還も同様に、JPYCを送付することで日本円が払い戻される。
JPYCは資金決済法に基づく「資金移動業者(第二種)」として登録されており、日本円との1:1交換を保証。裏付け資産は日本円の預貯金および国債で構成されている。
信頼性と拡張性が焦点に 国内デジタル決済の転換点へ
JPYCの急速な発行拡大は、国内におけるステーブルコイン市場が拡大局面に入りつつある可能性を示唆している。
主な利点の一つは、日本円建てで価格変動リスクを抑えながら、ブロックチェーン上で24時間送金・決済を行える点だ。個人間送金やEC決済だけでなく、企業間取引への応用も想定され、従来の銀行ネットワークを補完する新たな手段となることが期待される。
一方で、裏付け資産の保全や運用の透明性は引き続き重要な課題だ。ステーブルコインの信頼性は「1コイン=1円」で償還できる担保体制に依存しており、資金管理や第三者監査の透明性確保が不可欠とされる。
JPYC社は法令準拠と安全な運営を継続する姿勢を示しており、こうした取り組みが信頼維持の鍵を握る。
今後は、国内外の事業者との連携拡大を通じて、JPYCが「日本円版USDC」として国際決済の一翼を担う可能性もある。改正資金決済法による制度整備を背景に、JPYCが日本発のステーブルコインとしてデジタル通貨社会の実用化をどこまで牽引できるか注目される。
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