ワタミ、定年を65歳に延長 再雇用上限も75歳に引き上げへ

2025年10月30日、外食大手のワタミ株式会社(東京都大田区)が定年を現行の60歳から65歳へ延長し、再雇用制度の上限年齢を70歳から75歳へ引き上げると発表した。新制度は11月1日から導入されており、長期雇用と高齢人材の活躍を支援する。
長期雇用促進へ ワタミが定年・再雇用制度を大幅拡充
ワタミ株式会社は、社員がより安心して長く働ける環境を整備する目的で、定年年齢を従来の60歳から65歳へと引き上げた。これに加え、再雇用制度の上限も75歳まで拡大し、実質的に15年超の就業継続が可能となる仕組みを整えた。
同社は創業以来「社員の幸せ」を企業理念の根幹に据え、長期的なキャリア形成を支援してきた。勤続10年・20年・30年を迎えた社員への表彰など、社内文化として感謝を伝える取り組みも継続している。
今回の制度改定により、人生100年時代に対応した就労支援として、年齢にかかわらず能力を発揮できる体制の強化を狙う。
背景には、円安や物価上昇などによる生活費負担の増大がある。特に高齢層では年金の実質的な減少が懸念されており、働くことで収入を得る機会を拡充することは生活の安定に直結するとみられる。
また、ワタミは経験豊富なシニア社員の知見を次世代へ継承することも重視している。長年現場で培ったノウハウを若手教育や店舗運営に活かすことで、組織全体の競争力強化につなげる考えだ。
高齢者雇用拡大がもたらす効果と課題 長期就業の実現へ
定年延長と再雇用拡充は、企業と社員双方にメリットをもたらす可能性が高い。
企業にとっては人材不足の緩和や技能伝承の強化につながり、熟練社員の継続勤務が即戦力維持に寄与するだろう。また、社員側も経済的不安の軽減とキャリアの継続が期待できる。
ただし、制度を定着させるには柔軟な働き方の設計が必要となるかもしれない。
年齢を重ねるほど体力差や家庭事情の多様化が進むと考えられるため、勤務日数や時間の調整を可能にする運用が求められるだろう。
健康管理支援や職務内容の最適化も重要な課題となり得る。
また、若手社員との昇進・処遇バランスの調整も避けて通れないはずだ。シニア層の増加により、組織の世代構成が固定化すれば新陳代謝を妨げる恐れがある。
役割設計や評価制度の再構築を通じて、公平性と成長機会を両立させる取り組みが必要になると考えられる。
今後は、他業界にも定年延長の動きが広がる可能性がある。政府が掲げる「生涯現役社会」の理念と歩調を合わせ、ワタミの取り組みが民間企業の新たな雇用モデルとして注目を集めることになりそうだ。
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