PKSHAと東北大学、「説得対話AI」を開発し行動変容を実証 トップカンファレンスで論文に採択

2025年10月31日、株式会社PKSHA Technologyは、東北大学 言語AI研究センターとの共同研究による「説得対話AI」に関する論文が、自然言語処理分野の国際会議「EMNLP 2025」のIndustry Trackに採択されたと発表した。
人間の心理を理解し行動意欲を高める新技術が国際的に評価された。
PKSHAと東北大学、意欲変容を促す「説得対話AI」で国際評価
PKSHAと東北大学が共同で開発した「説得対話AI」技術が、自然言語処理分野の世界的会議「EMNLP 2025」のIndustry Trackに採択された。
「EMNLP」はACL主催の自然言語処理分野の国際会議で、トップクラスの国際会議の一つとして数えられている。
「説得対話AI」は、社会心理学や行動経済学、コミュニケーション理論を統合し、AIが人間の心理的要因を考慮して戦略的に対話するシステムだ。
これまでの対話AIは、コーチングやカウンセリング、セールスといった領域では人間には及ばず、意欲の低い対象者に行動変容を促すことは難しかった。
しかし、研究チームは、複数のデータセットを用いて、意欲が低い相手に対してもポジティブな態度変化を導く効果を実験的に確認した。
この成果は、営業支援やカスタマーサポートなど、人との信頼関係構築を要する領域での実用化が期待されている。
PKSHAは自社の「PKSHA AI Agents」へ技術を応用し、企業の顧客対応の質を高めるとともに、人とソフトウェアが協働する新しいコミュニケーション基盤を構築する方針だ。
人を動かすAIの可能性と課題 倫理的整合性の確立が焦点に
説得対話AIは、従来の情報提供型AIとは異なり、相手の心理状態やモチベーションを動的に理解して働きかける点で革新的である。
これにより、営業や教育、医療など、多様な分野で成果向上が期待できる。
一方で、AIが意図的に人の判断や感情に影響を及ぼすことへの懸念も根強い。
行動変容を促すAIは、利便性と倫理性のバランスが問われる領域に位置する。過度な誘導や感情操作を防ぐためには、AIを人間の倫理基準に合わせるアラインメント研究の進展が不可欠だろう。
東北大学 言語AI研究センターは、AI倫理・セーフティの面からも開発体制を強化する姿勢を示している。
今後は、AIが「人を理解し、動かす」技術としてどのように社会に受け入れられるかが焦点になるとみられる。
産業応用を重視するIndustry Trackでの採択は、理論と実務をつなぐ新たな一歩といえる。
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