AIで「未来の自分」と対話 キューサイが生活習慣改善サービス「myme」発表

2025年10月29日、青汁などの健康食品を展開するキューサイ(福岡市中央区)は、AI(人工知能)を活用して「未来の自分」と会話しながら生活習慣を改善する新サービス「myme(マイミー)」を発表した
AIが生成する「未来の自分」との対話で習慣を変える新体験
キューサイは創業60周年を迎え、「年齢を重ねることを前向きにとらえる“ウェルエイジング”社会の実現」を掲げている。その理念を象徴する形として、AIを活用した新サービス「myme(マイミー)」を発表した。
ユーザーはLINE(ライン)を通じてサービスにアクセスし、いくつかの質問に答えたうえで顔写真を送信すると、AIが20年後、または60歳時点の自分の姿を画像として生成する。その“未来の自分”と日常的に対話しながら、健康的な生活習慣を築いていくという仕組みだ。
AIはユーザーの回答内容をもとに「1日1分のストレッチ」「就寝前の水分補給」など、無理のない改善策を提示。会話の中では「大丈夫だよ」「その調子」といった励ましの言葉を返すこともあり、利用者が自分自身に肯定される感覚を得られるという。
キューサイは「一方的な助言ではなく、未来の自分からの応援として受け取れる点が継続の鍵になる」と説明している。サービスはすでにβ版が提供開始されており、ユーザー数800万人の獲得を目指す。
「未来の自分」が導く行動変容 AIが生む共感と課題
「myme」は、AIが単なる健康管理ツールを超え、心理的な支援者として機能することを目指した新しいタイプのエージェント(※)といえる。
未来の自分が語りかける構造により、行動改善を“指導”ではなく“共感”として受け入れやすくする設計が特徴とされる。特に、年齢を重ねることへのネガティブな感情を和らげる効果が期待されている。
一方で、AIによる生成画像や会話データを扱うサービスである以上、プライバシー保護や情報管理の透明性が重要な課題となる。ユーザーの自己像を扱う性質上、データ流用や心理的依存のリスクにも配慮が必要だ。
mymeは、企業がAIを通じて個人の幸福度を高める“ウェルテック”市場の先行事例となる可能性がある。
※AIエージェント:ユーザーの行動や感情に応じて対話や提案を行う人工知能プログラム。従来のチャットボットよりも自律的で、個人最適化された対応が可能。
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