アイリスオーヤマとNTT西日本、AI×IoTで提携 清掃ロボ活用で業務効率化へ

2025年10月29日、アイリスオーヤマとNTT西日本がフィジカルAIやIoT領域での業務提携に関する基本合意書を締結した。両社は清掃ロボットをはじめとした新たなソリューション開発を通じ、日本国内の労働力不足問題の解決を目指す。
清掃ロボットとAIプラットフォームを連携、新ソリューションを共同開発
アイリスオーヤマとNTT西日本は、フィジカルAI(※)やIoTを活用したDX推進に向け、業務提携の基本合意を結んだ。
両社の連携により、アイリスオーヤマの製品・サービスとNTT西日本のAI技術・プラットフォームを組み合わせた新しいソリューションの企画・開発・製造・販売が進められることになる。
第一弾の取り組みとして、アイリスオーヤマのDX清掃ロボット「JILBY(ジルビー)」とNTT西日本の「AIロボティクスプラットフォーム」を統合し、フィジカルAIを実現する。
ユーザーはタブレットやスマートフォンを通じ、ロボットとのテキストや音声での双方向コミュニケーションが可能になる。
さらに、AIエージェントが蓄積データを基に学習し、最適な清掃ルートや時間帯、頻度を提案する仕組みを導入する。この取り組みにより、従来手作業で行われていた清掃業務の効率化と最適化を狙う。
両社は製造・販売・ICTの知見を活かし、清掃業務に限らず将来的に多様なフィジカルAIソリューションの開発を検討する。国内における労働力不足という社会課題への対応を目的に、両社の強みを融合させる戦略である。
※フィジカルAI:現実世界の物理的環境や機器にAIを組み込み、自律的に判断・動作する技術。
業務提携の効果とリスク 清掃以外への応用で社会課題解決へ
両社の提携により、清掃業務だけでなく、物流や施設管理、介護支援など多様な分野への展開が期待される。AIによる自律学習と最適化機能は、人的負担の軽減だけでなく、業務品質の均一化やコスト削減にも寄与する可能性が高い。
一方で、導入コストや初期設定の負荷、AIの判断精度に依存するリスクも無視できない。
特に、学習データの偏りや想定外の状況での誤作動が業務に影響する可能性もあり、安全性や信頼性の確保は引き続き課題となるとみられる。
マーケティング面では、両社の販売チャネルを統合することで新規顧客獲得が容易になる反面、既存顧客への影響やサービス理解度の差異による混乱も考えられる。教育やサポート体制の強化が成功の鍵となるだろう。
将来的には、AI×IoTによる業務自動化が国内企業の競争力向上につながると同時に、労働力不足の社会課題に対するモデルケースとなる可能性がある。
技術面・運用面の両課題を乗り越えることができれば、清掃ロボットの枠を超えた新たなソリューションの創出も現実味を帯びてくるだろう。
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