リコー、AI活用SaaS「RICOH Intelligent Automation」を発表 IDP分野でグローバル展開を加速

2025年10月28日、株式会社リコーはAI技術を活用したSaaS型プラットフォーム「RICOH Intelligent Automation」を発表した。文書処理業務の自動化を支援するIDP(インテリジェントドキュメント処理※)領域を強化し、グローバル市場でのPA(プロセスオートメーション)事業拡大を狙う。
AIとOCRで文書処理を統合 リコーがIDP基盤を強化
リコーが新たに発表した「RICOH Intelligent Automation」は、AIを活用して文書業務を効率化するSaaS型のオーケストレーションプラットフォームである。紙や手書きの文書を含むさまざまなフォーマットからデータを抽出し、自動で分類・処理できる点が特徴だ。
同社が2024年に買収した独natif.ai GmbHの画像認識やOCR(光学文字認識)技術を統合する。
さらに、リコーの複合機やスキャナーなどの既存デバイス、外部アプリケーション、パートナーソリューションとも連携可能で、データの入力から出力までの流れをワンストップで管理できる。ノーコードでのワークフロー構築にも対応し、システム改修を伴わずに導入できる柔軟性を備える。
リコーはこのサービスをPA事業の中心に据え、欧州をはじめとする海外市場で先行顧客向けの検証を開始した。将来的にはAIアシスタントやAIエージェント機能の追加も予定しており、生成AIによる業務支援領域の拡張を目指す。
※IDP(インテリジェントドキュメント処理):AIやOCR技術を用いて文書からデータを自動抽出・分類・処理する技術領域。人的確認を減らし、業務効率と精度を高める仕組み。
生成AIが拓く自動化の次段階 競争力向上と課題の両面
RICOH Intelligent Automationの導入は、企業のデジタル変革(DX)を推進する有力な手段の一つとなり得る。特に、ドキュメント処理というあらゆる業種に共通する領域でAIを活用することで、業務時間の短縮とコスト削減が期待される。
OCRやノーコード構築の特性は、専門知識が限られる中小企業にとっても比較的導入しやすい要素となりそうだ。
一方で、AIを業務の中心に据える場合、一定のリスクも想定される。AIの判断根拠の不透明さや、誤検知によるデータ処理ミスは、特に法務・会計分野などで重大な影響を及ぼす可能性がある。
将来的に、生成AIや自律エージェント機能が統合されれば、単なる自動化を超えた「意思決定支援」への進化が進む可能性がある。
文書を読み取り、要約し、対応方針まで提案するAIが実用化すれば、ホワイトカラー業務の構造そのものを変えることにもつながる。リコーの動きは、AIによる知的業務の再設計が加速する流れの一端を示していると言える。
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