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    エヌビディア、米エネ省向けにAIスパコン7基構築 ブラックウェル10万個搭載

    2025年10月28日、米半導体大手エヌビディアは、米エネルギー省向けに7台の新型スーパーコンピューターを構築すると発表した。核兵器維持や代替エネルギー研究を支える戦略案件と捉えられる。

    目次

    エネ省向けAIスパコンを7台構築 ブラックウェル10万個搭載へ

    エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは開発者会議「GTC」の基調講演で、米エネルギー省向けに7基の新スーパーコンピューターを建設すると表明した。
    最大規模のシステムはオラクルと共同で構築され、最新AI半導体「ブラックウェル」(※)が10万個搭載される予定である。
    核兵器の維持・開発に加え、核融合などの次世代エネルギー研究にも活用される。

    カーソン・グループのアソシエート・ポートフォリオマネジャーのブレイク・アンダーソン氏は、スパコンの一つ「ソルスティス」に搭載されるエヌビディア製チップの価値を約30億~40億ドルと試算する。
    ブラックウェルは1基当たり3万~4万ドルとされるが、政府調達で割引が適用される可能性も指摘された。

    フアン氏は「われわれは米国にこのAI競争に勝ってもらいたい。それは間違いない。しかし、中国の開発者を獲得するためには同国に参入する必要もある。米国が世界のAI開発者の半分を失うような政策は長期的には有益ではなく、われわれにとってより大きな痛手となる」と述べた。
    同時に、同社のAIチップ受注総額が5000億ドルに達すると明かし、需要が急拡大している現状を示した。
    一方、中国市場については参入拒否が続いており、輸出ライセンス申請を見送っているとしている。

    ※ブラックウェル:エヌビディアの最新AI向けGPUアーキテクチャ。大規模言語モデル(LLM)や科学計算向けに設計され、前世代比で処理効率とエネルギー効率を大幅に向上させた次世代チップ。

    AI覇権競争の焦点は米中戦略 供給網と技術主導権が決め手に

    今回の大型スパコン案件は、米国のAIインフラ強化戦略の一環とみられる。核融合や政策研究を担うエネルギー省向けにAIリソースを集中させることで、科学技術力と安全保障分野における主導権確保が狙いであろう。
    クラウド大手オラクルとの連携も、ハイブリッドコンピューティング時代の「官民共創」の加速を象徴する動きと言える。

    一方、地政学リスクは残る。米中対立の激化が人材と市場の分断を招く懸念をフアン氏が示したように、自社のグローバル成長にとって中国市場は依然重要であり、輸出規制次第では供給網に影響が生じる恐れもある。

    さらに、AIハードウェア市場ではAMDやインテル、そして新興AIチップ企業が追随しており、競争は激化すると予測される。
    今回の受注は、エヌビディアの優位を確固たるものにする半面、政府依存度の高まりが収益構造の変動要因となる可能性も否定できない。
    各国が国家戦略としてAI計算資源の確保に動く中、技術・供給網・外交の三位一体で競争力が問われる局面に入っていると言える。

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