国交省、災害時の道路被害把握にJAXA衛星画像を活用 夜間・悪天候下でも迅速対応へ

2025年10月28日、国土交通省道路局と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、災害時の道路被害状況を把握するため、人工衛星画像データの活用に関する協定を締結したと発表した。
夜間や雨天など現地調査が難しい環境でも被害を早期に特定し、初動対応の迅速化を図る狙いだ。
「だいち4号」など衛星で道路被害を即時把握へ
国土交通省とJAXAは、災害発生時に人工衛星の緊急観測体制を整備し、JAXAが取得した画像データを道路局に提供する体制を構築することを決定した。
これにより、従来は現地調査に頼っていた道路被害の確認を、衛星画像によって広域かつ迅速に行うことが可能になる。
観測には、2024年に打ち上げられた先進レーダ衛星「だいち4号(ALOS-4)」と、現在運用中の「だいち2号(ALOS-2)」が用いられる。
さらに、両機関はワーキンググループを設置し、衛星データの効果的な活用方法の検討や実証実験を実施する方針だ。
災害対応の「空の目」へ 技術連携がもたらす課題と可能性
衛星観測の導入は、災害対応の大幅な効率化につながると期待される。
特に、地震や豪雨による土砂崩れ・道路寸断などは現地のアクセスが困難なケースが多く、衛星データにより安全かつ早期に被災箇所を把握できる意義は大きい。
一方で、衛星画像の解像度や解析スピード、クラウド共有による情報伝達の即時性など、運用面での課題も残ると考えられる。
現場の判断に十分活かすためには、自治体や防災機関との情報連携体制の整備が不可欠だろう。
今後は、AI解析による自動検出技術や、自治体向けリアルタイム可視化ツールの導入も視野に入るとみられる。
宇宙技術を防災インフラとして社会実装することで、日本の災害対応力は新たな段階へと進む可能性がある。
関連項目:
観測衛星「いぶきGW」が定常運用へ 温室効果ガスと水循環を高精度に観測












