KDDIとローソン、AI×ロボットで店舗DX実証開始 欠品検知と品出しを自動化へ

2025年10月28日、KDDIとローソンはAIとロボットを活用した次世代型の店舗運営実証を発表した。11月8日から「ローソン S KDDI 高輪本社店」で開始され、欠品の検知から品出しまでを自動化する。人手不足に悩む小売業において、省人化と効率化の両立を狙う取り組みだ。
AIとロボットが連携 “自律店舗”の実現へ向けた実証を開始
実証では、店内の巡回を担う「欠品検知ロボット」と、補充を行う「品出しロボット」の2種類を導入する。欠品検知ロボットは、あらかじめ設定した売場の棚配置をもとに、最適なルートで売場を巡回し、搭載された4Kカメラで棚を撮影。AIが画像を解析し、商品名まで特定したうえで欠品を検知する。
同社によると、店舗業務の中でも品出しは複数回行っており、特に商品数が多いお菓子類やインスタント食品などのカテゴリの負担が大きい。
KDDIとローソンは、2社が有する事業基盤やAI・DX技術を活用し、ローソンが掲げる2030年度に店舗オペレーション30%削減の目標実現に向けて取り組んでいる。
省人化の鍵を握るAI店舗運営 効率化と雇用変化のはざまで
AIとロボットの協働による店舗運営は、小売業が直面する構造的課題の解決策の一つとなる可能性がある。慢性的な人手不足が続く中、巡回や品出しといった定型作業を自動化できれば、24時間営業や深夜シフトに依存しない店舗運営が現実味を帯びつつある。
特に都市部の小規模店舗では、スタッフの業務負担軽減と店舗維持の両立につながる点が注目されている。労働力不足が深刻化する日本の小売業において、AIによる現場支援は「人が減っても回る店づくり」の重要な一歩といえるだろう。
一方で、店舗自動化の実現にはいくつかの課題も伴う。AIの誤検知やロボットの動作精度が不十分な場合、在庫管理や商品陳列の混乱を招くおそれがある。また、現場の人員削減が進めば、雇用や教育の在り方にも変化が生じる。
省人化が必ずしもコスト削減につながるとは限らず、AI導入や保守にかかる初期投資が中小店舗にとって大きな負担となる可能性も指摘されている。
こうした課題を克服するには、ロボットの汎用性向上やAIモデルの精度改善に加え、現場のオペレーション設計そのものを再構築する取り組みが求められる。
それでも、AIとロボットが「人の代替」ではなく「協働パートナー」として機能すれば、店舗全体の生産性は大きく向上する可能性が高い。スタッフは発注や接客といった付加価値の高い業務に集中でき、店舗運営の質が底上げされることが期待される。
今回のKDDIとローソンの実証が成功すれば、コンビニ業界にとどまらず、ドラッグストアや物流倉庫など他業態への展開も現実味を帯びるだろう。
小売のデジタル化が加速する中で、AIとロボットの協働が店舗経営の新たなスタンダードとなるか──その試金石として今回の実証が注目されている。
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