KDDI、ローソン店舗でAIグラス実証 業務効率化と製造・物流分野にも応用へ

2025年10月28日、KDDIはAIグラス(※)を活用した業務効率化の実証実験をローソン店舗で開始した。期間は12月26日までで、作業支援や業務の可視化を目的とする。AI分析による店舗オペレーションの高度化を図り、他業種への展開も視野に入れる。
AIグラスで作業支援と業務可視化を実現 KDDIとローソンが共同実証
KDDIは、カメラ・マイク・スピーカー・通信機能を備えたAIグラスを活用し、ローソン店舗で現場業務の効率化を検証する実証実験を開始した。スタッフがグラスを装着して作業を行うと、内蔵カメラが動作を撮影し、AIが内容を詳細に分析・可視化する仕組みだ。
また、店内調理や品出しなど、マニュアルを手で確認しにくい業務では、AIグラスを通じて音声でマニュアルを呼び出し、見本や作業工程を視界上で確認できる。
実証では、AIの応答精度や評価の正確性、装着時の快適性、従業員の受容度などを多面的に検証。実施期間は12月26日までで、結果を踏まえたうえで物流や製造分野など、他産業への応用も見据えている。
将来的には、2026年1月に稼働予定の「大阪堺データセンター」に構築される国内管理のAI基盤も使用していく予定である。
※AIグラス:カメラやマイク、通信機能を備えた眼鏡型のウェアラブル端末。音声認識や画像解析により、作業支援や情報提示を行う。
省人化の切り札となるか AI現場支援の可能性と課題
AIグラスによる作業支援は、省人化と業務効率化を同時に進められる可能性があり、小売・物流業界の業務改革に影響を与えることが期待される。
熟練者のノウハウをデータ化し、AIが新人教育や業務評価を補助する仕組みが確立すれば、人材不足に悩む店舗運営の現場負担を軽減できる可能性もある。さらに、作業データをAI基盤に蓄積することで、現場ごとの最適化やチェーン全体での標準化につながる余地も広がる。
一方で、カメラによる常時撮影への心理的抵抗や、プライバシー保護の仕組みづくりは依然として課題だ。また、現場のインフラ環境や通信品質によっては、AI分析の遅延が発生するおそれもある。
導入には、現場運用とAI精度のバランスを取るための設計が重要になる。
今後は、店舗や倉庫など多様な現場での実証を経て、KDDIが得たAIグラス運用の知見を他業種へ展開していく動きが注目される。
通信・AI・現場データの融合が進めば、「人を支えるAI」への進化が現実味を帯びてくるだろう。
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