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AIが資金の流れを変える 銀行は最大1700億ドルの利益喪失リスク―マッキンゼー報告

PlusWeb3 編集部
PlusWeb3 編集部 Web3・AI専門メディア

2025年10月23日、米コンサルティング大手マッキンゼー・アンド・カンパニーは、AI(人工知能)による顧客行動の変化が銀行収益に深刻な影響を与える可能性があるとの報告書を発表した。AIエージェントの普及により、銀行は最大1700億ドル(約26兆円)の利益を失うリスクがあるとしている。

AIエージェント普及が銀行の収益構造を揺るがす

マッキンゼーの報告によれば、AIを活用して資金運用を最適化する顧客が増加すれば、銀行が従来得ていた利ざやが急速に縮小する可能性がある。特に、AIエージェント(※)が「資金を移せば年間2000ドルが浮く」と提案するような状況になれば、顧客は高金利商品や他行への資金移動を自動的に行うようになると予測される。

同社の試算では、世界の個人預金総額70兆ドルのうち23兆ドルがほぼ無利息の口座にあり、残りの多くも低金利口座にとどまっている。

こうした資金がAIによって動き出せば、銀行業界全体で最大9%の利益減少、金額にして約1700億ドルの損失が生じる恐れがあるという。
また、従来型の預金ビジネスモデルを維持したままでは、多くの銀行で収益率が資本コストを下回る可能性も指摘した。

一方、AI導入によって業界全体のコストを15〜20%削減できる見込みもある。ただし、競争が激化するにつれ、その効果は次第に薄れるとマッキンゼーは分析する。報告書は「銀行にとっての利益は競争によって浸食され、恩恵の大半は顧客に還元される可能性が高い」と結論づけている。

※AIエージェント:ユーザーの目的に応じて判断や行動を自動実行するAIプログラム。資産運用や口座管理、決済などでの応用が進む。

先行導入で得る優位性と、淘汰リスクの現実

マッキンゼーは、AIエージェントの普及が進むにつれ、銀行間の競争がより短期的なスピードと効率を重視する構造へ変化する可能性を示唆している。

先行してAIを導入し運用効率を高めた銀行は、一時的に収益改善を実現できるとみられるが、対応が遅れた銀行は市場シェアを急速に失うリスクもある。パティアス氏は「早期導入企業は『水位がリセットされる前に』先行者利益を得るだろう」と述べている。

AI導入の主な利点として、マッキンゼーはコスト削減効果を挙げる。加えて、AIが顧客データをもとに金融提案を自動最適化することで、顧客満足度やロイヤルティの向上が期待される。一方で、AIによる資金移動が加速すれば、短期的な金利変動や流動性リスクが高まる懸念もある。

さらに、AIが「顧客にとって最も有利な選択」を導く仕組みが一般化すれば、銀行のブランド力や信用の差別化要因は薄れやすくなる。

金融の主導権が企業から顧客へと移行するなか、銀行はデータ、信頼、体験価値といった非金利領域での競争力を強化する必要があるだろう。

マッキンゼー・アンド・カンパニー レポート

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