NEC、地域金融向け営業支援クラウドに生成AIを実装 定型業務を自動化し営業高度化へ

2025年10月24日、NECは地域金融機関向けの営業支援クラウドに生成AI機能を新たに搭載すると発表した。
サービス提供は2026年春頃を予定しており、訪問準備や交渉履歴整理などの定型業務を自動化し、営業担当者の業務効率化を支援する。
NEC、生成AIで営業支援を拡充 地域金融機関の生産性向上を狙う
NECは、地域金融機関の営業店業務を支援するクラウドサービスに生成AIを実装し、営業活動の効率化と高度化を図る。サービス提供は2026年春頃を予定している。
新たに追加される生成AI機能は「訪問先の事前調査」「交渉履歴の要約・課題抽出」「セールスシナリオ立案」の3項目で構成される。
訪問先調査では、地域金融機関内の取引データや公開情報をもとに、業況や業界動向を自動で整理し、効率的な事前準備が可能になる。
交渉履歴分析では、商談記録や稟議資料から要点を抽出して整理し、後続の職員間連携をよりスムーズに進められるよう支援する。
セールスシナリオ立案では、顧客属性や取引実績を基に、融資や資産運用などの提案内容を自動で生成し、営業の質を一段と引き上げる。
NECは、こうしたAI活用によって営業担当者の事務負担を軽減し、顧客との対話や課題解決に充てる時間を拡大することを狙う。
同社はDX支援を軸に「ビジネスモデル、テクノロジー、組織・人材」の3軸で企業変革を推進しており、今回の取り組みもその一環と位置づけられる。
さらに、NEC独自の価値創造モデル「BluStellar(ブルーステラ)」のもと、業種横断的な知見とAI技術を融合し、地域金融の営業支援領域を強化する。
生成AIがもたらす営業革新 地域密着型モデルの変化点に
NECの生成AI実装は、金融業界における営業スタイルの転換を促す動きとして注目される。
従来、訪問準備や記録整理にかかっていた時間を削減できるため、担当者はより多くの顧客接点を持ち、提案活動に集中できるようになる。
特に、地方銀行など人員リソースが限られる機関にとっては、生産性向上に直結する効果が見込まれる。
一方で、AIが生成した提案内容の信頼性や、顧客情報の扱いに関するリスクも課題となる。
生成AIによる分析や要約が誤って解釈される場合、提案の精度や説明責任に影響を及ぼす可能性がある。
そのため、現場ではAIによる自動化と人の最終判断のバランスが不可欠になるだろう。
今後、NECが蓄積する金融データとAI技術の連携が深化すれば、地域金融機関の営業活動はより戦略的・コンサルティング志向へと進化する可能性が高い。
生成AIの導入は単なる業務効率化にとどまらず、地域経済全体の活性化を支える新たな基盤になり得る。
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