ecbeing、「AIデジタルスタッフ」とReviCoを連携 レビュー情報を活用し購買支援を強化

2025年10月23日、ソフトクリエイトホールディングス傘下のecbeingは、チャットボットシステム「AIデジタルスタッフ」と、グループ会社が提供するレビューマーケティングプラットフォーム「ReviCo(レビコ)」の連携を開始した。レビュー情報をAI応答に反映できるようになり、ECサイトでの商品提案精度を高める。
AIがレビューを理解し提案 購買行動を左右する新機能
今回の連携により、「AIデジタルスタッフ」が「ReviCo」に蓄積されたレビュー情報を自動で読み込み、ユーザーからの質問に対してレビュー内容を踏まえた回答を生成できるようになった。たとえば「人気の商品を教えて」と尋ねた場合、単なる売れ筋ではなく、高評価レビューが多い商品を挙げ、その内容を要約して提示することが可能になる。
この「ReviCo連携機能」は、Google連携用のレビューデータをそのままAI側に利用できる仕組みを採用しており、データの変換や再構築を必要としない。これにより、AIデジタルスタッフはリアルタイムでその内容に即した最適な回答を生成する点が特長だ。
ecbeingによると、ECサイトでは「レビューを見た人」と「見ていない人」とで注文率が約2倍変わるという。米ノースウェスタン大学の調査でも、レビュー閲覧者の購入率が1.9倍~3.8倍まで高まったと報告されている。レビューは消費者の購買判断において重要な指標であり、AIによるレビュー要約や提示は、販売機会の最大化につながるとみられる。
「AIデジタルスタッフ」は、Microsoftの「Azure OpenAI Service(※)」を活用し、OpenAIの「ChatGPT」を基にecbeingが独自開発したシステムである。サイト内の情報をもとに回答を生成する仕組みを採用しており、一般的な検索型AIよりも精度の高い応答が可能だ。
※Azure OpenAI Service:マイクロソフトが提供するクラウド型AI基盤。OpenAIの大規模言語モデルを企業システムに安全に導入できるサービス。
レビュー活用が変えるECの顧客体験 信頼性と運用精度が課題に
レビュー情報をAIが活用する取り組みは、ECサイトの顧客体験に新たな変化をもたらす可能性がある。
消費者が実際の購入者の声を参考にできることで、AIの提案に「説得力」と「信頼性」が加わる点は注目すべき利点といえる。
企業にとっても、AIを通じてレビューを有効活用できることで、マーケティングコストの最適化や顧客理解の深化が期待される。
一方で、レビュー内容の偏りや信頼性の確保は依然として課題だ。
AIが誤った情報を要約すれば、ユーザーに誤解を与えるおそれがあるため、今後はネガティブレビューの扱いや虚偽投稿の検出といった品質管理の重要性が増すとみられる。
特に生成AIが文脈を補完する過程で、レビュー原文と異なるニュアンスを伝えるリスクにも注意が必要だ。
それでも、レビューとAIの融合は「購買支援のパーソナライズ化」を進める有力なアプローチの一つと考えられる。
AIがユーザーの検索履歴や購買履歴を踏まえてレビューを選別・要約する仕組みが実装されれば、顧客一人ひとりに最適な提案が実現する可能性がある。
今後、ECプラットフォーム間でのレビュー連携が進展すれば、AIを軸にした“信頼データ”共有の動きが広がることも考えられる。
関連記事:
中国のCentral Academy of Fine ArtsがAI搭載チャットボットを導入し、グローバルなウェブサイト体験を向上

大日本印刷、非構造化データをAIで整理 構造化AIチャットボットを発売












