コクヨが画像生成AIで空間設計を革新 「オフィススタイルAI」社内運用を開始

2025年10月22日、コクヨ株式会社は画像生成AIを活用した空間設計支援システム「オフィススタイルAI」を開発し、11月から営業設計部門で社内運用を開始すると発表した。
顧客向け提案の迅速化を目指す国内向けの取り組みである。
画像生成AIと設計ノウハウ融合、短時間で空間イメージを可視化
コクヨは、オフィス空間設計の業務を効率化するため、画像生成AIと自社の設計ノウハウを融合した「オフィススタイルAI」を開発した。営業現場での商談や提案活動において、空間パースや完成イメージを数十秒で生成できる点が最大の特徴である。
同社は2023年からAI活用のトライアルを行い、営業・設計の両部門が連携して精度を検証してきた。その過程で顧客との打ち合わせ時に求められる「スタイル変換」機能の需要が高いことを確認し、実務レベルでの導入に至った。
従来は数日かかっていたパース作成を即時に行えることで、商談中に複数デザイン案を比較提示できる。また、コクヨ独自のデザインテンプレート37種を搭載し、多様なテイストの提案が可能になった。
運用は2025年11月から首都圏エリアの営業・設計部門を皮切りに順次展開される。
画像生成だけでなく、動画、3Dモデル、家具デザインなどへのAI応用も視野に入れており、空間構築事業全体の生産性と品質向上を推進する方針だ。
生成AIが変える空間設計の競争軸 創造性と再現性の両立が鍵か
「オフィススタイルAI」は、業務効率化と顧客満足度向上を両立させる点で画期的だ。
提案段階でのビジュアル化が高速化すれば、顧客はより具体的なイメージを基に検討を進められ、商談の質も高まるだろう。
社内においても、設計担当者が作業負担を減らし、創造的なプランニングに時間を割けるメリットがあると考えられる。
一方、AI依存が進むことで、社員の独自提案力や現場判断力が補助的になりすぎるリスクも発生し得る。生成された画像の品質や方向性を評価する能力を維持するためには、AIの出力を補助として扱い、人間の判断を組み合わせる運用が不可欠となるだろう。
さらに、生成AIの運用に伴うデータ管理やセキュリティ面の課題も無視できない。顧客情報や設計データがAIに入力されるため、適切な管理体制と情報漏洩対策が必要となるはずだ。
同社の取り組みは国内オフィス設計市場におけるAI活用の先駆的事例として注目できる。生成AIを用いた空間提案の標準化が進めば、業界全体の生産性向上にも波及しうるが、そのバランスの取り方が今後の成否を左右すると言える。
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