ソラナ共同創設者、新DEX「パーコレーター」構想を公開 AI活用し開発進める

2025年10月21日、ソラナ(Solana)共同創設者のアナトリー・ヤコベンコ氏が、新たな無期限先物DEX(分散型取引所)「パーコレーター(Percolator)」の構想をSNS「X」で明らかにした。
AIを活用した実験的開発が進められており、スケーラビリティと耐障害性を両立する次世代型取引プロトコルとして注目を集めている。
シャーディング構造採用の新DEX「パーコレーター」構想
ヤコベンコ氏は投稿の中で、対話型AI「Claude」を活用しながら、ソラナ基盤上で新しい無期限先物DEXの試作を行っていることを明かした。
無期限先物DEXは、満期が存在しない先物契約を取り扱う取引所だ。Binance、Bybitなどの中央集権型取引所とは異なり、スマートコントラクト上で自動的に清算・担保管理を行う点が特徴だ。
公開されたGitHubリポジトリのスクリーンショットには「パーコレーター」という名称が確認され、このプロトコルが「シャーディング型無期限先物取引システム」として設計されていると説明されている。
プロトコルの中核を成すのは「スラブ(Slab)」と「ルーター(Router)」の2層構造だ。
スラブは小型のマッチングエンジンとして、個別市場単位で注文処理やリスク管理を自律的に行う。
複数のスラブが同時稼働することで取引処理を分散し、ネットワーク混雑を防ぐ仕組みを備える。
一方、ルーターはそれらのスラブを統括するレイヤーとして、ポジション管理や担保の集計を行い、全体の整合性を維持する役割を担う。
このアーキテクチャにより、従来の単一マッチング型DEXが抱える処理集中の課題を解消し、同時に障害耐性を高める狙いがあるとみられる。
ヤコベンコ氏は「アイディアを盗んでいい」とコメントしており、オープンな実験として開発を進めている。
分散型金融の新潮流か スケーラビリティと協働開発に期待
パーコレーター構想は、分散型金融(DeFi)の進化において大きな意味を持つ可能性がある。
現行の多くのDEXでは、取引量の増加に伴い処理遅延やガス代上昇が避けられない。
複数エンジン構成により、並列処理で取引負荷を分散できることは大きな利点だ。
さらに、AIを取り入れた開発手法も注目点だ。
AIがコード生成や設計補助を行うことで、短期間での試行錯誤やリスク検証が可能になる。
ギットハブ上ではすでに外部開発者によるプルリクエストも確認され、初期段階ながらコミュニティ主導の開発が始まりつつある。
もっとも、複数スラブ間のリスク共有や清算処理など、実装面では新たな課題も想定される。
とくに高頻度取引を想定する場合、各スラブ間での整合性維持には高度な設計が求められるだろう。
それでも、この試みは「AI時代の分散型取引所」のプロトタイプとして、DeFi領域の次の潮流を示すものといえる。











