メルカリ、Notion全社導入でAI-Native企業への進化を加速

2025年10月22日、Notion Labs Japan合同会社は、メルカリが同社のコラボレーションツール「Notion」エンタープライズプランを全社導入したと発表した。AI活用を前提とした業務設計やナレッジ管理の効率化を推進し、国内でのAI-Native企業変革を本格化させる。
全社規模でNotion導入 AI活用前提の業務改革を加速
メルカリはフリマアプリ事業の開始から12年を迎える中、今年度のテーマとして「AI-Native」を掲げ、AIを前提とした組織設計や業務フローの再構築に取り組んでいる。
その一環として、部門横断で編成されたAI Task Forceが、既存業務へのAI適用だけでなくゼロベースでの業務再設計を進めてきた。
同社は2025年8月、Notionのエンタープライズプランを全社採用し、社員および連携パートナーを含む2千名超が利用を開始した。CKM(Central Knowledge Management)コミッティーを中心に導入を推進し、情報一元化と横断検索の利便性を高める狙いがある。
Notionの採用理由としては、AI統合型のUI/UXによる直感的操作、多言語対応、情報のフローからストックまでの一元管理が可能である点が挙げられる。
また、同社が展開するフィンテックやマーケットプレイス事業の厳格なセキュリティ基準を満たすことも評価された。
同社では、既にプロジェクト進捗管理や会議議事録、SlackやGoogle Workspaceとの横断検索にNotionを活用しており、AIミーティングノートの導入によって作業コストの削減やタスク抜け漏れ防止の効果が報告されている。
メルカリはこのプラットフォームを通じて、AI時代に適した業務プロセスと顧客体験の向上を図る方針だ。
Notion導入で加速するAI-Native化と今後の課題
Notion全社導入は、メルカリの「AI-Native」推進を象徴する一歩であり、今後の組織運営やプロジェクト管理の効率化に直結する可能性が高い。AIを活用した検索やドキュメント生成により、業務プロセスの標準化や意思決定の迅速化が期待できる。
メリットとしては、情報の一元管理による横断的なナレッジ共有、AIによる作業負荷軽減、組織全体のAIリテラシー向上が挙げられる。
特に、経営会議の設計や進捗管理にAIを組み込むことで、意思決定の精度と速度が高まる効果が見込まれる。
一方でリスクも存在する。全社規模での運用における定着化や、AIの判断に依存しすぎた情報解釈の偏り、セキュリティやプライバシー管理の維持などが課題となる可能性がある。
また、導入ツールに依存した働き方の変化に対する社員の適応度も鍵となるだろう。
将来的には、Notionを基盤としたAI-Native化が、メルカリのみならず他企業の業務改革のモデルケースになる可能性がある。情報・ナレッジ管理の一元化とAI活用の融合は、デジタル時代の競争力維持に不可欠な要素として注目されそうだ。
関連記事:
Notion、「Notion AIエージェント」を発表 ナレッジワーク自動化で新たな協働時代へ

メルカリ、AIネイティブ企業への転換を加速 組織とプロダクトを全面刷新へ












