パーソルBPD、ローカル環境でAIを安全運用 機密情報を守る「プライベートAIサービス」開始

2025年10月21日、パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社(以下、パーソルBPD)は、企業のローカルネットワーク内でAIアプリをセキュアに活用できる「プライベートAIサービス」を提供開始した。
クラウドを介さずAIを利用できる環境として、機密情報を扱う業務や高セキュリティ要件を持つ組織への導入を見込む。
クラウドを使わずAIを導入 金融・行政・製造業にも対応
パーソルBPDの「プライベートAIサービス」は、企業のローカルネットワーク内でAIを運用できる仕組みを提供する。
これにより、AIを導入したくてもセキュリティ上の懸念からクラウド利用を制限していた組織でも、生成AIを業務に活用できるようになる。データ処理がすべてローカルで完結するため、機密情報や個人情報の外部流出リスクを排除できる点が特徴だ。
AI利用環境には「NVIDIA DGX Spark」を採用。オープンソースの大規模言語モデル(LLM・※)や、AIアプリ構築プラットフォーム「Dify(ディファイ)」を活用でき、社内専用のチャットボットや文書自動生成AIの開発も可能とした。
さらに、AI導入を支援する「AIエージェント導入・活用コンサルティング」や、人の工数を“ゼロ化”に近づける「ゼロ化」などのサービスを業務自動化支援などをローカル環境のAIを活用して展開。専任のAIコンサルタントによる伴走型支援のもと、設計から開発、保守、24時間サポートまでを一貫提供する。
想定される利用分野は幅広く、金融業での書類業務自動化や与信判定、自治体の窓口業務支援、製造現場の品質検査や安全管理などを挙げている。
※LLM(大規模言語モデル)=膨大なテキストデータを学習し、人間のように自然な文章を生成・理解するAI。ChatGPTなどの基盤技術として用いられている。
セキュリティと利便性の両立へ ローカルAIが拓く新たな選択肢
「プライベートAIサービス」は、クラウド依存を避けたい企業にとって注目される選択肢の一つとなりそうだ。一方で、導入コストや運用負荷、モデルの更新作業など、ローカル運用ならではの課題も残る。
AIを継続的に活用するには、ハードウェア管理や人材育成を含めた長期的な体制づくりが求められる。
情報漏えいのリスクを抑えながら生成AIの利便性を享受できる点は、依然として大きな魅力といえる。社内限定の生成AI環境を整える動きは、特に金融・行政・製造業を中心に広がる可能性がある。
今後は、クラウドとローカルを適材適所で組み合わせた「ハイブリッドAI運用」が主流候補の一つとして注目されるだろう。
さらに、AIを単なる効率化ツールにとどめず、業務知識を蓄積・共有するナレッジ基盤として運用するアプローチにも関心が集まっている。
情報を安全に扱いながら自律的に進化するローカルAIは、企業のデジタル変革を支える新たな方向性を示す存在となるかもしれない。
今後は、AI活用の自由度とガバナンスを両立する仕組みづくりが鍵を握ると考えられる。
関連記事:
LM Studioが商用利用も無料に 企業・教育機関でのローカルLLM導入が加速へ

Google DeepMindが次世代ロボットAIをローカル実行可能に Gemini Robotics On-Deviceを初期リリース












