NEC、生成AIで社員のキャリア相談を支援 ジョブシャドウイングも開始

2025年10月20日、NECは生成AIを活用した社内キャリア相談ツール「NEC AIキャリアトーク」を同月から導入したと発表した。
社員が他部署を体験できる「NECジョブシャドウイング」も同時に開始しており、国内の社員育成の新たな取り組みとして注目される。
AI活用で社員のキャリア形成支援 NECが新施策を導入
「NEC AIキャリアトーク」は、キャリアに関する質問に対してAIが最適な選択肢や研修提案を提示する仕組みであり、過去5年間の相談データやキャリア理論を学習している。
グループ6社向けには人事制度も反映され、育児・介護との両立や人材公募制度への対応も可能となっている。
同社は、従来からキャリアアドバイザーによる相談サービスを提供していたが、AI導入により社員は場所を問わず気軽に相談できる環境が整った。
将来的には社内知見を蓄積する「クライアントゼロ」としての活用に加え、社外へのサービス展開も検討されている。
あわせて導入された「NECジョブシャドウイング」は、社員が半日または1日、所属以外の職場を体験するプログラムだ。他部署の業務理解やキャリア選択の視野拡大を促し、受け入れ組織には新たな視点の提供、送り出し組織には知見還元が期待される。
これらの施策は、2025中期経営計画におけるPurpose経営と人材投資の延長線上にあり、ジョブ型人材マネジメントや人材流動化の取り組みをさらに強化する狙いがある。社員主体の成長促進と組織の競争力向上を同時に目指す形だ。
AIキャリア支援とジョブ体験がもたらす未来と課題
「NEC AIキャリアトーク」と「ジョブシャドウイング」の導入により、社員は自己主導でキャリアを考える機会が増えると予測されできる。
特にAI相談は、上司や人事に話しにくい内容を匿名かつ気軽に相談できる点で有用であり、心理的ハードルを下げる効果が見込まれる。
一方で、AIによる助言の正確性や過度な依存に対するリスクも残る。AIは過去データを基に提案するため、新規ポジションや独自キャリアの判断には限界がある。
また、ジョブシャドウイングでは受け入れ側の業務負荷や社員間の調整も課題となりうる。
今後は、AIと人間のキャリアアドバイザーを組み合わせたハイブリッド体制が求められるだろう。これにより、個々のニーズに応じた柔軟な支援が可能となり、社員のモチベーション向上や離職抑制にも寄与すると考えられる。
さらに、社内での知見蓄積を通じて、社外サービスとしての展開も視野に入る。
こうした取り組みが進めば、企業間でのベストプラクティス共有やAI活用の社会的波及効果も期待できるため、国内企業における人材育成の新たなモデルケースとなる可能性が高そうだ。











