リップル、XRPトレジャリー設立へ SPACで10億ドル調達計画か

2025年10月17日、リップルがXRPに特化したデジタル資産トレジャリー(DAT)企業の設立を目指し、10億ドル規模の資金調達を進めているとブルームバーグが報じた。SPACを通じて資金を集める見通しだ。
リップル、XRP購入に特化したDAT設立を主導
報道によると、米リップル(Ripple Labs)は新たに設立するデジタル資産トレジャリー(DAT)企業を通じ、調達した資金で暗号資産XRPの購入を行う計画だ。
調達方法はSPAC(特別買収目的会社 ※)を活用して行われ、調達額は10億ドル(約1,700億円)規模とのことだ。
さらに、リップルは自社が保有するXRPの一部を資金調達の一環として活用する可能性があるという。
同社は2025年7月31日時点で約47億4,000万XRP(約110億ドル)を保有しており、世界でも有数のXRP保有主体として知られる。この保有資産を活用すれば、DAT設立後の流動性確保や市場安定化に寄与するとみられる。
現時点で取引条件や設立時期などの詳細は協議段階にあり、今後の調整によって変更される可能性もある。
また、前日10月16日には、同社が米財務管理企業ジートレジャリー(GTreasury)を10億ドル(約1,501億円)で買収する計画を発表している。
リップルは、従来の国際送金ビジネスに加え、複数兆ドル規模の企業財務市場に参入することを狙い、今回のDAT構想はその延長線上にあると分析される。
※SPAC(特別買収目的会社):未上場企業を買収・上場させることを目的に設立される企業。投資家から資金を集めた後、一定期間内に買収対象を見つけて合併することで間接的な上場を実現する仕組み。
企業財務市場への布石 XRP活用拡大に弾みも課題残す
リップルがXRP専門のトレジャリー企業を設立する構想は、暗号資産の新たな活用モデルを提示するものといえる。
最大のメリットは、XRPを企業財務の一部として組み込む仕組みを具体化し、市場の流動性と安定性を高める点にある。リップル自身が巨額のXRPを保有しており、これを資金運用に活用することで、デジタル資産が実体経済と結びつく好例となり得る。
一方で、デメリットやリスクも無視できない。
SPACを活用する手法は柔軟である反面、SEC(米証券取引委員会)の監視対象となりやすく、規制強化の影響を受けやすい。特に、暗号資産を中心とした資金運用は「証券性」や「会計処理」の曖昧さが残り、当局との見解の相違が再燃する懸念がある。
今回の構想は、リップルが単なる決済ネットワーク企業から「デジタル資産の財務インフラ提供者」へと進化する第一歩とみられる。ジートレジャリーの買収と合わせて、企業財務のデジタル化を包括的に支援する体制を整えつつある点は注目に値する。
DAT構想の実現が、XRPの実需拡大と金融市場への信頼回復につながるかが今後の焦点となるだろう。
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