電通デジタル、Luma AI「Ray3」で動画広告制作を1時間に短縮 生成AIでインプレ2500%の効果向上

2025年10月20日、株式会社電通デジタルは、米Luma AIの最新動画生成モデル「Ray3」を活用し、広告クリエイティブの制作・運用支援を強化すると発表した。
動画バナー制作を約1時間で実現し、広告配信ではインプレッション数2500%、インストール数8倍という成果を達成した。
Ray3導入で広告制作を刷新 PDCA高速化と成果向上を実現
電通デジタルは、生成AI企業Luma AIが開発した最新モデル「Ray3」を活用し、広告クリエイティブ制作の効率化を進めている。
「Ray3」は映像生成中に自動で出力を評価・改善する自己修正型AIで、広告や映画の制作パイプラインに適したフォーマットを高精度に生成できる。
新機能「ドラフトモード」により、従来比で20倍の速度で試作・改善を繰り返し、最適なクリエイティブを4K品質で仕上げられる点が特徴だ。
電通デジタルは、電通デジタルとゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)が設立した生成AI共同研究ラボ「GDO AI-Lab」の活動の一環として、Ray3を活用した動画バナーの制作・運用を実施した。
アプリのダウンロード促進キャンペーンで、静止バナーから複数パターンの動画を一括生成・配信した結果、インプレッション数は2500%、インストール数は8倍に向上。
制作時間も約1時間に短縮され、大幅な効率化を実現したという。
Luma AI CEOのAmit Jain氏は「Ray3はクリエイティブなパートナーとして考えられるように設計されており、品質や意図を損なうことなくストーリーテラーやマーケターの仕事を加速することができます」とコメント。
電通デジタルは今後も、「Luma AI」との連携や自社のソリューションブランド「∞AI®(ムゲンエーアイ)」を通じてクライアントの広告戦略支援を強化する方針だ。
生成AIで制作効率を最大化 表現の均質化リスクも
「Ray3」による制作工程の自動化は、これまで時間とコストがかかっていた映像クリエイティブのPDCAを一気に短縮する。
複数のアイデアを短時間で生成・検証できるため、広告主はターゲット層ごとに最適化された映像を配信でき、マーケティングの精度が飛躍的に高まることが期待される。
一方で、AIによる映像生成が普及するほど、ブランド間で似通った構図や表現が増える懸念がある。
生成過程が効率化される反面、「人間らしい違和感」や「偶発的な創造性」が失われる可能性も否定できない。
また、AIが参照する学習データの偏りや、著作権・肖像権を巡る新たな課題も浮上している。
今後、AIが映像生成の基盤を担い、人間がその文脈・意図を設計するような共創体制が、実用性を増していく可能性は大きいだろう。











