大日本印刷、AI×XR融合の「DNP XR STUDIO」を市谷に開設 映像制作の効率化と新表現を推進

2025年10月20日、大日本印刷(DNP)はAIとXR(Extended Reality)を融合したバーチャルプロダクションスタジオ「DNP XR STUDIO」を、11月13日に東京都新宿区市谷で開設すると発表した。
映像制作の効率化と表現拡張を実現し、2029年度までに2億円の売上を目指す。
AI×XR融合の制作拠点を市谷に開設
DNPは、AIとXR(※)を掛け合わせた新スタジオ「DNP XR STUDIO」を市谷の自社敷地内に開設する。
高精度なモーションキャプチャ「Vicon」やLEDウォール、グリーンバックを備え、Unreal EngineやUnityを用いたリアルタイム合成にも対応している。
撮影現場で完成映像を確認しながら制作できる環境を整えた。
生成AIによって背景生成やレンダリングを効率化し、キャラクターや照明の調整も容易に行える。
プロデューサーや技術スタッフが常駐するため、XR映像制作が初めての企業でも安心して利用できる。
また、DNPはActiv8、カディンチェ、ズーパーズースなどと協業し、一般社団法人XRコンソーシアムと連携を通じて、業界横断の共創拠点として運用する方針だ。
モーションキャプチャによるバーチャルライブ収録、3DCGと実写合成、広告やミュージックビデオの即日ティザー制作など、多様な用途を想定している。
スタジオは11月13日に開設され、利用受付は10月20日から開始予定だ。
DNPは本スタジオを基点に、映像制作分野のデジタル転換を推進し、2029年度までに2億円規模の事業成長を見込んでいる。
※XR(Extended Reality):現実と仮想空間を融合させた体験技術の総称。AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、MR(複合現実)などを含む。
共創が拓く日本発の映像制作モデル
DNP XR STUDIOは、映像制作における「時間・コスト・人材不足」という課題を解消しつつ、高品質な映像表現を可能にする新たなインフラとなる。
生成AIとXR技術を組み合わせることで、従来の制作工程を短縮し、少人数でも高精度な映像を生み出せる点が特徴だ。
一方で、高度な設備投資や専門スタッフの育成には一定の負担も伴うだろう。
特にXR技術の活用には経験値が求められるため、導入当初は支援体制の整備が鍵になると考えられる。
しかし、DNPが「共創」を掲げ、複数の企業・団体と協働する姿勢は、国内の映像産業全体に波及効果をもたらすとみられる。
AIが制作を支援するワークフローが浸透すれば、日本発の新たな制作モデルとして国際市場での展開も期待できる。
DNPは同スタジオを通じて、コンテンツ産業の持続的成長と創造的な映像文化の発展に寄与するだろう。
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