トレンドマイクロとWDH、AIフルバリューチェーンを担う新会社「Magna AI」を設立へ

2025年10月17日、トレンドマイクロ株式会社とWistron Digital Technology Holding Company(WDH)は、AIファクトリーのフルバリューチェーンを提供する新会社「Magna AI(マグナ エーアイ)」の設立に向けた基本合意書を締結したことを発表した。
NVIDIAとの技術統合を通じ、AIインフラからアプリケーション、セキュリティまでを一体化したグローバル提供体制を構築する。
AIインフラからセキュリティまで一貫提供へ
トレンドマイクロとWDHが設立するMagna AIは、AI産業の基盤から運用までを包括的に支援するフルスタック型のAIプラットフォーム企業である。
インフラ、アプリケーション、セキュリティ、運用支援を一体で提供し、AI時代の産業構造を支えることを目的に設立される。
Magna AIは、WDHのAIハードウェアおよびシステム統合の強みと、トレンドマイクロのAIセキュリティ技術を統合する。
さらに、NVIDIAの推論マイクロサービス「NIM(※)」を活用し、エンドツーエンドのAIファクトリー環境を実現する。
これにより、政府、金融、医療、エネルギーなどの分野において、安全かつスケーラブルなAI導入を支援する。
CEOに就任するDr. Moataz BinAli氏は「私たちの使命は、安全でスケーラブルかつ自律的なAIソリューションを提供し、企業が新しい時代をリードできるようにすることです」と述べた。
Magna AIは、AIの安全活用と持続的成長を両立させる体制構築を掲げており、信頼性を軸としたAIフルバリューチェーンの確立を目指す。
※NVIDIA NIM:NVIDIAが提供する推論マイクロサービス。生成AIや機械学習モデルを安全かつ効率的に運用するためのクラウドネイティブ技術。
グローバルAI産業の中核を担う可能性
Magna AIの誕生は、AIインフラから運用、セキュリティまでを単一モデルで提供するという点で画期的だ。
AIの商用化が進む中、企業は開発コスト削減やセキュリティ強化、コンプライアンス対応を同時に求められており、これらを包括的に解決できるMagna AIの存在意義は大きい。
特に、フォワードデプロイドエンジニア(FDE)モデルを採用し、顧客企業の現場に専門家を組み込む仕組みは、導入後の運用最適化を加速させると見られる。
一方で、AIの標準化や各国の法制度との整合性といった課題も残る。
Magna AIがグローバル展開を進める上では、各国のデータ主権やクラウド規制に柔軟に対応できる体制が不可欠となるだろう。
AI産業が分散的な構造から統合型へと移行する中で、Magna AIはその「中核インフラ企業」として位置付けられる可能性が高い。
今後の正式設立と事業開始の動向が注目される。
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