CTC、オンプレ環境で機密データを守る生成AI基盤「CUVIC GPU Zero」開始

2025年10月20日、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)はオンプレミス型の生成AI基盤サービス「CUVIC GPU Zero」を発表した。企業の機密データを閉域網で安全に扱えるフルマネージド型サービスで、生成AIの自社開発を支援する。
CTC、GPU搭載の生成AI基盤をオンプレ環境で提供開始
本サービスは、閉域網によるセキュアなオンプレミス環境上で稼働し、機密情報を外部に出さずにAIを運用できる点が特徴である。
CTCが機器の調達から構築、保守運用までを一括で担うフルマネージド型となっており、企業は自社データを活用しながら生成AIを導入できる。
システムにはNVIDIA製GPU搭載ハードウェアとAIエージェント開発機能を標準装備し、長文生成やデータ解析、チャート・グラフの高精度読み取りも可能だ。
ノーコード開発ツール「Dify」も実装しており、非エンジニアでも業務特化型のAIエージェントを迅速に構築できる。
価格は初期費用150万円、月額75万円(税抜き)から利用可能で、3年間で30件の導入を目指す。複数部門での並行利用を前提とした構成で、製造業や金融業など幅広い分野での適用が見込まれている。
CTCは従来よりGPUクラスタの最適化やAIモデル設計の知見を有しており、今回のサービスでも監視、障害対応、ソフトウェア更新などを包括的に提供する。
今後は、利用規模の拡大に合わせてGPUサーバや通信回線、LLM追加などのサービス強化も予定している。
オンプレAI基盤の普及が進む契機に 安全性と柔軟性が競争軸へ
CTCの新サービスは、クラウド利用に不安を抱く企業にとって現実的な代替手段となる可能性が高い。閉域網による高いセキュリティと、CTCが一括運用を担う利便性の両立が評価されれば、国内でのオンプレAI需要を再び活性化させる契機になり得る。
一方で、オンプレミス型の課題として、初期導入コストや拡張時のハードウェア更新の負担は残ると考えられる。運用コストを含めたトータルコストをどう最適化するかが、今後の採用拡大を左右するだろう。
また、AIモデルの更新頻度が高まる中では、クラウド型との連携をどう確保するかも課題となるかもしれない。
CTCが運用面を包括的に担う点は、これらの課題を軽減する要素となり得る。企業はAIモデルの精度向上や業務適用に集中でき、導入後の安定稼働を担保しやすくなるためだ。
加えて、「Dify」を通じたノーコード開発の普及が進めば、現場主導のAI活用文化を促す可能性もある。
今後、生成AI基盤は「どこで動かすか」よりも「どう安全に活かすか」が焦点になるだろう。











