SBI VCトレード、法人向けデフコンサルティングのETH運用支援を開始

2025年10月17日、国内暗号資産取引所SBI VCトレードは、東証グロース上場のデフコンサルティングのETH取引・保管・運用を包括的に支援すると発表した。法人顧客向けの「SBIVC for Prime」を活用し、大口取引や税務面を含めた最適な運用体制を構築する。
デフコンサルティング、SBIの大口取引枠組みを活用
SBI VCトレードは、機関投資家や上場企業向けに設計された「SBIVC for Prime」を通じ、デフコンサルティング(Def consulting)のイーサリアム(ETH)運用を支援する。
同枠組みでは、特別スプレッドを適用したOTC取引(※)による大口約定、ステーキングサービスの活用、オプション取引の導入など、複数の取引手段を組み合わせた戦略的運用が可能となる。
さらに、法人向けの「期末時価評価税の適用除外サービス」も活用予定である。この制度は、企業が保有する暗号資産に1年以上の移転制限を設けることで、含み益に対する法人課税を免除する仕組みだ。
これにより、長期保有を前提としたETH運用を維持しながら、ステーキング報酬による安定的なインカムゲインを得ることが可能になるという。
同社の10月7日時点のETH保有量は3,618.095514ETHで、取得総額は約25億円、平均取得単価は69万971円となっている。
※OTC取引:Over The Counter(店頭取引)の略。取引所を介さず、当事者間で直接行う大口取引手法。価格変動リスクを抑え、流動性を確保しやすい。
法人の暗号資産運用が本格化 税制・流動性両面で追い風
今回のSBI VCトレードの支援は、国内法人による暗号資産活用を後押しする転機になり得る。
特に「期末時価評価税の適用除外サービス」は、企業が資産評価損益に左右されず中長期的な保有戦略を立てやすくする仕組みであるため、財務リスクの軽減に寄与すると考えられる。
また、SBIグループが提供するステーキングやOTC取引などのプロ向けサービスを組み合わせることで、これまで個人投資家中心だったETH市場に法人マネーの流入が加速する可能性もある。実際、デフコンサルティングのように企業会計上でETHを「長期資産」として扱う動きは増えつつあるため、今後は金融商品としての位置づけが明確化するだろう。
一方で、デメリットとして挙げられるのは、市場価格下落時の会計リスクと制度不確実性である。
暗号資産の価格は依然としてボラティリティが高く、含み損発生時の減損処理や監査上の評価基準が明確でない。加えて、税制優遇措置の適用要件や規制枠組みが今後変更される可能性も否定できないため、長期的な経営判断において安定性を欠く要素となり得る。
また、流動性を確保するためにOTC取引へ依存する場合、市場価格との乖離や取引先リスクも無視できない課題だ。
それでも、SBI VCトレードのように信頼性の高い取引・保管インフラを備えた事業者の参入は、市場の信頼性向上と制度整備の加速につながると見られる。
国内では今後、企業財務における「デジタル資産運用」の枠組みが再定義される局面に入る可能性がある。今回の事例は、法人によるETH保有の先例として、制度整備の指標となるだろう。
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