Wix、AI検索結果でブランド引用を可視化 企業マーケ戦略に新指標

2025年10月15日、イスラエルのSaaS 型 Web 制作プラットフォームWix.comは、生成AIの回答内で企業ブランドがどのように言及されているかを可視化する「AI検索結果概要(AI Visibility Overview)」の提供を開始したと発表した。
Wix、生成AI回答のブランド引用率を可視化可能に
Wix.comが提供する「AI検索結果概要」は、企業ブランドや製品名がAIによる回答内でどれほど言及されるかを追跡・分析できるソリューションである。
対象となるのはChatGPT、Gemini、Perplexity、Claudeなど主要な大規模言語モデル(LLM※)で、各プラットフォームごとのブランド引用率やポジティブ/ネガティブ評価を可視化できる。
ユーザーは自社ブランドのAI上での露出や評価傾向を確認し、必要に応じてコンテンツ改善のアドバイスを受けられる。さらに、自社のパフォーマンスを競合ブランドと比較することで、業界内での立ち位置や戦略上のチャンスを把握可能だ。
加えて、各AIプラットフォーム経由で自社サイトへのトラフィックや検索頻度も確認できる。AI が SEO とデジタルマーケティングの世界を再定義する中、ブランドが優位性を確立するための機能となる。
※大規模言語モデル(LLM):膨大なテキストデータを学習し、自然言語で文章生成や質問応答が可能なAIモデル。
AI可視化が開くブランド戦略の新潮流と課題
今回のWixの取り組みは、生成AI時代におけるブランド可視性の管理に新たな指標をもたらす可能性がある。AI検索が情報収集の主要手段となる中、どのプラットフォームでブランドがどう扱われているかを把握できることは、マーケティング施策の精度向上に寄与すると考えられる。
一方で、AI生成コンテンツの評価は必ずしも人間の認知と一致せず、ポジティブ評価が過大、ネガティブ評価が過小になるリスクも存在する。そのため、可視化データに基づく戦略判断では、AI出力への過度な依存を避ける必要がある。
また、競合ブランドとの比較機能を活用すれば、自社の優位性や改善点を明確にできる反面、他社の施策との相対評価により課題が顕在化する可能性もある。
生成AIの普及とLLM最適化(※)の重要性が高まる中、WixのAI可視化機能は、ブランド戦略の精緻化とリスク管理を両立させる新しいツールとして注目される可能性がある。
※LLM最適化:生成AIが出力する回答の精度や関連性を高めるために、検索語句やコンテンツ構造を最適化する施策。
関連記事:
アドビ、生成AI対応のマーケティング最適化ツールを発表 LLM時代におけるブランド戦略を支援

Storyblok が CMS の革新を発表――ブランドが新しいウェブ上で目立ち、自信を持ち続けられるように

電通デジタル、AI活用の新ソリューション「∞AI LP」を発表
